高齢者歯科の実態
2022-03-02 11:00:15
高齢者の歯科治療実態調査から見える問題点と改善点
高齢者の歯科治療に関する実態調査
近年、口腔の健康が全身の健康に密接に関連していることが広く認識されてきました。特に高齢者においては、虫歯や歯周病が進行し、歯の欠損が進むことが多く、これが食べ物を噛む能力や飲み込む能力に影響を与え、様々な病気や介護が必要になるリスクを高める要因となっています。全身の健康を維持するためにも、歯科治療や口腔ケアは不可欠です。
しかし、実際に歯科治療を受けた高齢者の中には、「治療に満足していない」と感じている人も多いようです。そこで、医療法人社団 聖礼会が実施した60歳から75歳の高齢者を対象にした調査をもとに、彼らの悩みや後悔について分析してみましょう。
高齢者の口腔内の悩み
調査によると、高齢者が抱える口腔内の悩みは多岐にわたります。最も多い悩みは歯周病で52.2%が挙げています。次いで歯石や欠損、虫歯、口臭、入れ歯の調整の不具合が続きます。多くの高齢者が将来的な歯の健康について不安を抱えているのが現実です。
特に「将来、歯を失う不安」が高まるとのコメントも見受けられ、将来の健康状態に対する不安は深刻です。60代から70代の男女からは、現状の歯の健康状態が維持できるかどうか心配だという声が多く寄せられています。
後悔と納得のいかない治療
調査では、半数以上が現在または過去に受けた治療に満足していないことが分かりました。具体的には、治療選択の明確さや将来を見据えた早期治療の不足、治療目的の不明確さなどが指摘されています。具体的な声としては、歯を抜かれたことに対する後悔や、医師に疑問を伝えられなかったことへの悔いなどが見受けられました。
インフォームドコンセントの欠如
歯科医院でのインフォームドコンセント、すなわち治療前の説明やリスクの提示が不十分であるとの意見も少なくありません。調査では、治療内容やリスクについての説明が毎回行われなかったと回答する割合が高く、将来の治療プランが提示されたことがなかったと述べる方も多かったのが現状です。
口腔の健康意識の低さ
調査結果によれば、口腔の健康が全身の健康に関連することを知らない人が多いことが明らかになりました。また、歯科治療が“手段”であり、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上を目的とするものであると理解している高齢者は少なく、多くが対症療法として捉えています。
まとめ
高齢者の歯科治療における問題点は、医師側の説明不足や患者の意識の低さが大きく関与しています。歯科治療は決して単なる治療行為ではなく、全身の健康を維持するための重要な手段であることを、多くの人々に認識してもらう必要がありますの。これからの高齢社会において、患者が希望する治療を提供するため、また良質なコミュニケーションを実現するために、歯科医療の向上が求められています。
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