認知症当事者が高校生に語りかける意義深い授業

入間市では、2023年7月3日に日々輝学園高等学校東京校において、認知症を抱える当事者が高校生に向けて直接体験を伝える特別な授業が行われました。この授業は、認知症サポーター養成講座の一環として実施され、当事者たちの生の声を通じて偏見を変えることを目的としています。

勇気ある行動

「私たちは何もできないわけじゃない」というメッセージが、この授業の根底にありました。認知症という病気に対する社会の理解は徐々に進んでいる一方で、根強い誤解や偏見が残っていることも事実です。特に「認知症になると何もできなくなる」といった思い込みに当事者たちは立ち向かうべく、直接高校生に語りかけることで、彼らの真の姿を理解してもらいたいとの強い願いが込められていました。

特別授業の特色

この授業は、入間市、チームオレンジいるま、そして日々輝学園高等学校の三者協働によって実現しました。当事者の声を通じてのリアルな体験談は、教科書やメディアでは得られない深い理解を学生たちに与えることを目的としています。また、過去に認知症啓発動画を2本制作しており、今回の授業を通じて第3弾制作に向けたパートナーシップも検討されています。

参加生徒38名は福祉・保育コースの高校生たちであり、彼らは将来福祉の分野で活躍する可能性が高い世代です。この授業で当事者の声に耳を傾けることで、より一層深い理解と共感を身につけることが期待されています。

プログラム内容

授業は以下のようなプログラムで構成されていました:
1. 認知症当事者の声
2. 認知症についての基礎知識
3. 過去の啓発動画の上映
4. グループワークによる第3弾動画制作に向けた意見交換

これにより認知症について正しい理解を促進し、福祉・介護分野への関心を高めると共に、若者が当事者と協働する機会を提供しています。

市の担当者の思い

入間市の福祉担当者は、「認知症当事者の皆さんからの声を通じて、高校生たちに認知症についての真実を知ってもらいたい」と語り、その取り組みが未来を担う若者たちの意識を変えることを期待しています。特に当事者たちの工夫や努力が忘れ去られることなく、彼らの実際の姿を理解してもらうことが重要であることを強調しました。

期待される効果

今回の特別授業は、認知症に対する偏見を解消し、若い世代が福祉や介護といった分野に興味を持つきっかけになることが期待されています。また、認知症当事者の社会参加を促進し、世代を超えた共生社会の実現に向けた意識の醸成も目的としています。

このような取り組みが成功することで、認知症に対する理解が広まり、より多くの若者が福祉の分野で活躍することが期待されています。未来の福祉を担う彼らにとって、今回は貴重な経験となったことでしょう。この取組が今後も続けられることを願っています。