企業の価値を決める人的資本情報の開示状況を探る
トライベック株式会社が実施した「企業サイトの『人的資本・社員情報』開示トレンド調査」により、人的資本情報の開示状況が浮き彫りになりました。この調査は、非製造業の上場企業100社を対象とし、企業の「企業情報」と「採用情報」における10項目の人的資本情報がどのように開示されているのかを明らかにしました。
調査の背景と目的
「人材が企業価値の源泉」とされている現代において、人的資本情報の開示はますます重要なテーマとなっています。しかし、企業がどの情報を、どのように発信しているかに関する議論は十分とは言えません。特に、同じ情報であっても、投資家向けのIR情報として開示されるのか、求職者への採用情報として開示されるのかは、企業の「人材」の位置付けを示しています。
調査結果の概要
調査の結果、企業情報側での人的資本情報の掲載率は90.3%に達しましたが、採用情報側はわずか27.9%にとどまり、情報の届け先に明らかな差があることが分かりました。
さらに、調査対象の企業100社の基本属性データでは、企業情報側が9割を超える掲載率を示す一方で、採用情報側では社員数が43%、平均年齢が14%と極めて低い数値となりました。
基本属性データの開示状況
基本属性では、企業情報における社員数の掲載は100%、平均年齢98%、男女比93%という高い開示率でした。対照的に、採用情報での社員数は43%、男女比は31%、平均年齢は14%と大きなギャップがあります。
働き方・定着データの現状
働き方に関するデータは、企業情報側で85.3%の掲載率ですが、採用情報側では13〜32%とこちらも低迷しています。特に育児休業取得率は99%と高いながら、採用情報側では32%と大きな乖離が見られます。
成長・活躍データの充実度
成長を示すデータも、企業情報での精彩が際立っています。育成制度や女性管理職比率は全ての企業で100%の掲載率を誇りますが、採用情報では育成制度のみに67%と、限られた情報が提供されています。
人材情報の掲出形式
興味深いことに、調査対象の全企業が人的資本情報を数値形式で開示しており、58%の企業が説明を加えて文脈まで提示しています。データ的な見せ方は定着しており、情報が求職者に届くための改善が望まれています。
結論と今後の展望
調査から得られた重要なポイントは、主要な人的資本情報が企業のIR情報として高水準で掲載される一方で、同じ情報が採用情報側に十分に展開されていないことです。この情報の非対称は、求職者が必要とする人材情報の不足を示しており、企業の競争力の強化が求められます。
今後、企業は自社の人的資本情報を採用情報側にも展開することが大切であり、透明性の高いデータの開示が求められています。人材こそが企業価値の基礎であるため、その裏付けとなるデータが求職者に見える形で提供されることが、採用競争力と企業の信頼構築に寄与するでしょう。