ファンケル、革新的な保湿技術「液晶ニオソーム」を発表
株式会社ファンケルは、スキンケア業界において新たな地平を開く技術を発表しました。それが、「液晶ニオソーム」と呼ばれるナノカプセルです。この技術は、従来の保湿成分であるヒト型セラミドをさらに進化させ、従来のスキンケア製品の保湿効果を大幅に向上させることを目指しています。
液晶ニオソームの開発背景
保湿効果を向上させるために、ファンケルは液晶化したヒト型セラミドを使用し、通常のニオソームと組み合わせる研究を行いました。これにより、従来のニオソームよりも柔軟性が高まり、肌により良い効果をもたらすことが期待されています。セラミドは本来、結晶性が高いため、肌にとって望ましい形に変化しにくいという課題がありました。この研究は、その課題を解決するためのものです。
液晶ニオソームの特徴
今回開発された「液晶ニオソーム」は、直径約150nmの球状の形状を持ち、従来のセラミドニオソームと比較して、20~40度の温度でより柔軟な膜を保持します。また、肌上で水分蒸発を模した条件下では、液晶ニオソームが巨大な線維状構造に変化し、保湿効果を高めることが分かりました。
具体的な研究結果
1.
液晶生成のための比率特定: ヒト型セラミド、フィトステロールズ、およびステアリン酸ポリグリセリル-10を特定の比率で混合し、偏光顕微鏡を用いて液晶を形成する条件を見つけました。
2.
膜流動性の確認: 蛍光測定を通じて、液晶ニオソームは従来のセラミドニオソームよりも高い柔軟性を持つことが判明しました。これにより、よりスムーズに肌に浸透することが期待されます。
3.
水分透過抑制試験: メンブレンフィルターを用いて行った水分透過試験では、液晶ニオソームが水分蒸発を顕著に抑制することが確認され、肌のバリア機能向上に寄与する可能性が示されました。
今後の展望
ファンケルが「液晶ニオソーム」の研究成果を発表したのは、2025年9月に開催された「第63回 日本油化学会年会」でのこと。この技術が実用化されれば、市場におけるスキンケア製品の新たなスタンダードとなる可能性があります。
今後も、ファンケルはこの研究を基にさらなる製品開発に取り組み、より多くの人々に効果的なスキンケア体験を提供することを目指しています。
この革新的な技術が、未来のスキンケアの常識になる日も遠くないかもしれません。