フジテック、エレベータメンテナンス向けアプリで業務効率化を実現

エレベータメンテナンスを支える新しいアプリ

フジテック株式会社は、エレベータのメンテナンスに特化したアプリケーションを開発し、業務効率の向上を図っています。本社を滋賀県彦根市に置く同社は、社長の内山高一氏の指導のもと、メンテナンス業務における不具合対応の迅速化を目指してこのアプリを設計しました。

アプリの機能と特徴

この新しいアプリは、過去の不具合対応事例を集めたビッグデータを利用し、発生したトラブルに対して最適な処置方法を担当者にリアルタイムで通知します。これによって、若手技術者とベテラン技術者の間でのスキル差を埋め、対応力を平準化することが可能になります。

実際、エレベータの不具合への対応は通常、稼動ログのデータ解析から始まりますが、この解析作業は長い時間を要し、経験が求められるため、若手技術者にとっては非常にハードルが高いものでした。このアプリを導入することにより、現場でのデータ解析が不要となり、迅速な問題解決が実現するのです。

実運用と展望

アプリは今年9月から近畿エリアで試験運用が始まっており、通知内容には具体的な対応策や必要な機器が記載されています。デバイスは社用のスマートフォンを使用するため、現場の技術者は移動中でも迅速に情報を受け取り、行動に移ることができるようになります。

今後は、全国展開を計画しているほか、海外法人においてもこのアプリを活用する方針です。これにより、日本国内だけでなく広範な地域でのメンテナンス業務の効率化に寄与することでしょう。

共同研究による技術の裏付け

このアプリの開発には、滋賀大学データサイエンス学部との共同研究の成果が活用されています。研究では、過去20年以上にわたり蓄積された異常記録と保守点検実施記録が分析され、それらに基づいて不具合の発生を高確率で予測できるモデルが開発されました。AIやIoTの技術を駆使して、今後もさらなる保守技術の向上を目指しています。

この施策により、フジテックがエレベータ業界においてもデジタル化を推進し、作業の効率性を一層高めることが期待されています。今後、どのような成果が現れてくるのか、注目が集まります。