名作と未発表作品が同時刊行
今年9月は、日本文学界に大きな足跡を残した作家、遠藤周作の没後30年に当たります。これを記念して、新潮文庫から彼の代表作『善人たち』、そして未発表戯曲『わたしが・棄てた・女』が同時に発売されることとなりました。
遠藤周作とは
遠藤周作は1923年、東京に生まれ、若い頃を満州で過ごした後、神戸に帰国し12歳でカトリックの洗礼を受けました。慶應義塾大学でフランス文学を学び、その後、フランス留学を経て、1955年には芥川賞を受賞。彼の作品は、キリスト教の問題を核心としつつ、日本の精神風土を深く掘り下げたものばかりです。
代表作には『海と毒薬』『沈黙』『イエスの生涯』『侍』などがあり、特にキリスト教文学における重要な位置を占めています。1995年には文化勲章を受章し、日本文学の巨星としての地位を確立しました。
同時刊行される作品について
『善人たち』
『善人たち』は2022年に長崎県の遠藤周作文学館で発表された未発表戯曲のうちの3作品を収めています。この戯曲は、劇団民藝のために書かれたもので、遠藤周作の視点で描かれる人間の偽善や差別、憎悪を深く考察しています。
収められる作品は、表題作『善人たち』をはじめ、信仰と俗世との葛藤を描いた「切支丹大名・小西行長」、そして恋愛の苦い結末を迎えた「戯曲版わたしが・棄てた・女」などです。
『わたしが・棄てた・女』
この作品は、遠藤周作自身が最も愛したと言われる「ミツ」という女性を描いた恋愛小説です。男に対する未練や裏切り、愛による苦しみを描き、吉岡努というキャラクターが、どんな女性でも構わないという暗い欲望のままに森田ミツを傷つけていく様子が描かれています。
解説を担当するのは、『博士が愛した数式』で知られる作家、小川洋子さんです。小川さんはこの作品を読み終えた際、読者はきっと言葉を失い、心に深い感動を覚えるだろうと寄せています。その解説はこう続きます。「ありふれた男女関係のもつれが、いつの間にか宇宙的な景色へと変わり、私たちに一筋の光を届けてくれる。」
発売日と書籍情報
両作品は2022年8月28日に文庫版として発売される予定です。『善人たち』は定価737円(税込)、『わたしが・棄てた・女』は693円(税込)となっています。
ISBN: 978-4-10-112341-7
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ISBN: 978-4-10-112342-4
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更に、10月には『聖書のなかの女性たち』も文庫化される予定で、この2ヶ月で3冊が刊行されることになります。
結論
遠藤周作が遺した文学は、時代を超えて今なお多くの人々に感動を与え続けています。彼の作品を再評価し、新たにその魅力を感じる機会が訪れることに、期待が高まります。今後の刊行にも目が離せません。