正倉院の魅力を最新のファッションと共に体感
2023年6月17日、特別展「正倉院 THE SHOW」が大阪歴史博物館で幕を開け、注目のコラボレーションアーティストである篠原ともえさんが新作ドレスをお披露目しました。正倉院1300年の歴史を背景にしたこの展覧会は、最新のデジタル技術を駆使して、古代の宝物を現代のアートやファッションに昇華しています。
篠原さんが手がけたドレスのモチーフは、正倉院に収蔵されているペルシア風の水差し「漆胡瓶(しっこへい)」。彼女はこの独特なフォルムに魅了され、そのシルエットやオリエンタルな美しさを表現しました。ドレス制作には約1年を要し、400以上のパーツが手作業で装飾されています。篠原さんは、「このドレスは、宝物をファッションに変えるアートピースの象徴です。ぜひ近くでその文様の細やかなディテールをご覧いただきたい」と語っています。
今回の展覧会では、篠原さんだけでなく、音楽、写真、陶芸などのジャンルで活躍する他のアーティストたちも新作を発表。正倉院からインスピレーションを得た作品が多数展示されています。また、特に注目されるのは、宝物を360度スキャンし、高精細な3Dデータと演出を融合させた映像展示です。肉眼では捉えにくい細部や質感が、約20メートルのスクリーンで再生され、来場者は新たな宝物の魅力に没入できる体験が楽しめます。
会場内では、正倉院に保存されている名香「蘭奢待(らんじゃたい)」の香りも初公開されます。科学的に再現されたこの香りを、ガラスボールで展示し、来場者が実際に嗅ぐことができるというユニークな試みも行われています。
展覧会の監修を務める宮内庁正倉院事務所の飯田剛彦所長は、「本展は視覚だけでなく、五感で楽しむことができる展示を目指しています。多くの人々に正倉院の魅力を知ってもらい、新たな感動体験を提供したい」と展覧会への意気込みを語っています。
さらに、俳優の鈴木福さんが本展のオフィシャルサポーターに就任しました。鈴木さんは、祖父母が運営する和楽器オーケストラ「むつのを」に関わりを持ち、自身の伝統文化への愛着を表明。正倉院への期待を語りつつ、最新技術によって描き出されるその魅力に胸を躍らせている様子です。
また、特別番組として鈴木福さんと歴史好きの松嶋尚美さんが出演する「正倉院 THE SHOW」は、展覧会の魅力を楽しく紹介する内容となっています。この番組は2025年7月5日(土)と7月25日(金)に放送される予定です。
展覧会は2025年6月14日(土)から8月24日(日)まで開催され、会場である大阪歴史博物館では、宝物の展示に加えて、来場者にとって驚きと発見のある体験を提供しています。観覧料金も大人2000円、高校生・大学生1500円、小学生・中学生1000円と、幅広い層の訪問を受け入れています。
正倉院の宝物に根ざした新しいアートの世界を、是非この機会に体感してみてはいかがでしょうか。古代の美がどのように現代のファッションやアートと融合しているか、その魅力を自らの目で確かめてください。