新潟県上越市の古民家「承継樓」がウッドデザイン賞2024で奨励賞を受賞
新潟県上越市に位置する古民家「承継樓」が、ウッドデザイン賞2024のライフスタイルデザイン部門で奨励賞(審査委員長賞)を受賞しました。この賞は、木材を用いて様々な社会課題の解決を目指すプロジェクトを評価し、国内外に広めることを目的としており、2024年で10回目の開催を迎えました。
「承継樓」が取り組む5つの社会課題
「承継樓」は、厳しい自然環境と豊かな歴史を持つ上越後地域の古民家を素材として、新たな価値を作り出しています。この古民家の再生プロジェクトは、主に以下の社会課題に取り組んでいます:
1.
空き家対策: 地域内で増加する空き家を有効活用し、古民家の再生を促進。
2.
地域活性化: 古民家を訪れる観光客や移住者を増やし、地元経済の再生を図る。
3.
伝統建築技術の承継: 経験豊かな職人たちの技術を後世に伝える。
4.
炭素排出低減: 古材や国産材を活用した環境に配慮した建築を実践。
5.
林業再生: 地元の森林資源を活用し、持続可能な資源管理を促進。
これにより、地域に密着したサステナブルな暮らしを実現しています。
古民家の魅力と再生技術
承継樓は、上越後の豪雪を耐え抜いた「たいせつ古民家」の移改築によって、現代の住まいに適した快適さを兼ね備えています。具体的には、以下のような技術を用いて再生が行われています:
- - 古民家イノベーション: 古民家の不便さを解消するため、最新の技術を取り入れた設計が施されています。例えば、優れた断熱性能を持つ真空断熱ガラスの窓や、極めて快適な床暖房などがあります。
- - いにしえがえり: 失われた古民家本来の美しさを引き出すため、昭和時代に覆われた部分を復元し、囲炉裏や伝統的な造作を新設しました。
- - サステナ適材適所: 古材や国産材を適用に利用することで、持続可能な建築を目指しています。
これらの取り組みは、地域の建材を利用することによる環境負荷の軽減に加え、伝統的な技術を現代に蘇らせる役割も果たしています。
承継樓の今後の目標と地域への影響
「承継樓」は、古民家をただの住まいとして再生するのではなく、さらなる地域活性化の起点ともなることを目指しています。実際、古民家の再生によって新たな居住者が増え、地域経済の復活が見込まれます。
さらに、承継樓はただの見学施設ではなく、訪れる人たちが古民家の価値を体感し、未来の住まい方を考えるための場所でもあります。地域内外からの見学者が増えることで、古民家への理解が深まり、地域全体のブランド力が向上することが期待されます。
総じて、承継樓の成功は、新しい時代の古民家再生への道を示しており、今後も注目が集まることでしょう。木材の持つ可能性と古民家の新たな価値観は、地域の未来を明るくする大きな要素として位置付けられています。