スーダンの人道危機
2025-07-07 15:02:32

スーダン北ダルフール州での集団虐殺──国際社会に求められる支援の強化

スーダン北ダルフール州での集団虐殺の実情



スーダンの北ダルフール州は現在、深刻な人道危機に直面しています。2024年6月10日に国境なき医師団(MSF)が発表した報告書によれば、特に州都エル・ファシール周辺では集団虐殺が進行しており、数十万人の民間人が暴力や飢餓の脅威にさらされています。MSFは、紛争当事者に対し特定の民族への攻撃を即時に停止すること、また大規模な人道援助を迅速に進めるよう求めています。

民間人が直面する圧力と暴力



北ダルフールでは、2024年5月から紛争が一層激化し、ほとんどすべての犠牲者が無辜の民間人です。MSFが発表した報告書『包囲、攻撃、飢餓』は、エル・ファシールとその周辺の民間人が置かれている絶望的な状況を如実に映し出しています。報告書は、数ヶ月間にわたるデータ収集と、現地の避難民へのインタビューを基にしています。

MSFの緊急活動責任者、ミシェル・オリビエ・ラシャリテ氏は、「人々は無差別な戦闘に巻き込まれ、準軍事組織(RSF)の標的となっています」と述べています。この状況下では、略奪や集団殺害、性暴力といった組織的な暴力が日常化しており、また医療施設や市場などの民間インフラが攻撃される事例も多発しています。

助けを求める声が届いていない現実



MSFの人道問題顧問、マチルド・シモン氏は、被害を受けた患者や住民から「自らの苦しみを語ってほしい」という声を聞いていますが、それはほとんど国際社会に認知されていません。無関心と無策が続く中、暴力の実態の記録が急務とされています。

避難民キャンプへの攻撃



最近の報告では、RSFによる住民への大規模な地上攻撃があり、エル・ファシール郊外のザムザム避難民キャンプでは3週間足らずで推定40万人が逃げる事態に至りました。人道援助は届かず、数万人がタウィラやチャドへ逃げ込む事態に。MSFはこのような状況下で数百人以上の暴力の被害者にケアを行いましたが、援助活動は妨害され続けています。

シモン氏は、「昨年の西ダルフールで起こった集団虐殺と同様のことが、北ダルフールでも繰り返される危険が高まっています」と強く警告しています。

逃げることが困難な現実



エル・ファシール周辺の道では、暴力が蔓延しており、多くの人が避難する際に命の危険にさらされています。特に男女問わず、非アラブ系の住民が標的にされていることが確認されています。ある避難民の女性は、「ザガワ人であることを明かしたら、誰も脱出できませんでした」と語り、別の男性は「RSFは、人々にザガワ人かどうかを確認し、そうだった場合は殺害しました」と証言しています。

一方、別の女性はチャドへの避難を振り返り、「母親が連れて行けるのは5歳以下の子どもだけで、男性は通してもらえなかった」と訴えています。こうした実情から、無数の幼い命が栄養失調で失われていく様子も明らかになっています。

未来に向けた対応と要請



MSFは、国際人道法を遵守し民間人を守るよう紛争当事者に強く求めています。特に、RSF及びその支援者によるアラブ系以外の住民への攻撃を即刻停止し、エル・ファシールが封鎖されている現状を打破する努力が必要です。また、国際社会には、紛争当事者に対する圧力をかけ、必要な人道援助を安全に届けるための行動が求められています。

スーダン北ダルフールの状況は緊急を要するものであり、国際社会の支援なしには改善が見込めないことが明らかです。もはや時間がありません。行動が必要です。


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会社情報

会社名
国境なき医師団(MSF)日本
住所
東京都新宿区馬場下町1-1 FORECAST早稲田FIRST 3階
電話番号
03-5286-6123

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