早稲田大学とペスタロッチによる共同研究
2020年度から自治体や学校向けに体力テストデジタル集計アプリ『ALPHA』を提供しているPestalozzi Technology株式会社(以下、ペスタロッチ)は、早稲田大学 スポーツ科学学術院の金岡恒治研究室と協力し、子ども向けに運動機能を評価する新たなプログラム「Koji Awareness™」の実用化に向けた共同研究を実施しています。
共同研究の背景
近年、社会問題として子どもたちの体力低下が深刻化しています。1985年をピークに、国家の調査でもその傾向が確認され、特に2020年のコロナ禍により、この問題はさらに顕著になりました。子どもたちに健康や体力を支えるためには、彼ら自身が体力の現状を理解し、運動習慣を身につけることが不可欠ですが、現在の新体力テストは年に1回の実施に限られるため、自らの体力と向き合う機会は少ないのが実情です。
このような課題を受け、ペスタロッチは、体力を簡単に把握できる方法を模索してきました。特に、道具を使わずに始められる身体診断プログラム「Koji Awareness™」に着目し、実用化に向けた研究が始まりました。早稲田大学はこのKAに注目した先駆者で、既に大人向けの実証研究を行っておりましたが、子ども向けに適応するうえでの知見が必要でした。
共同研究の概要
本共同研究の主な目的は、小学5・6年生65名を対象に、KAの測定の有効性を検証し、運動改善が身体機能に与える影響を評価することです。評価方法としては、道具を用いずに全身の運動器機能をセルフチェックできる4つの項目を測定し、改善運動を約2ヶ月にわたって続け、その後再測定を行います。
研究の結果
初回の測定では、肩の可動性や下半身の筋力において、すでに高評価を得る子どもが多く見られました。特に男子の肩甲骨の可動性では、有意な改善が確認でき、運動機能の向上の可能性が示唆されました。この改善が、運動が苦手な子どもの早期発見や、必要なサポートへと繋がることが期待されます。
研究の今後の展望
今回の研究結果を踏まえ、小学生向けの取り組みはもちろん、中学生や高校生への適用も検討されています。KAの測定内容を充実させるとともに、特に体力評価が必要とされる子どもたちに柔軟に対応するための方法論を模索しています。
また、KAの導入を通じて、子どもたちが持つ運動能力や体力についての理解を深めることは、彼らの健康寿命を延ばすために重要であると、早稲田大学の金岡教授も指摘しています。これにより、運動を通じて多くの子どもたちが健やかに成長できる社会の実現が期待されます。
おわりに
ペスタロッチと早稲田大学は、今後もKAの可能性を追求し、子どもたちの健康教育の充実に貢献することで、経済的かつ健康的な社会づくりに邁進していく所存です。