名古屋発の新たな演劇『贋作 義経千本桜』の全貌
2023年12月18日から21日まで、中川文化小劇場で上演された30-DELUX NAGOYAの名作『贋作 義経千本桜』が、現代の舞台芸術に新たな風を吹き込んだ。
この作品は1747年の初演以来、日本演劇史の中で重要な位置を占める『義経千本桜』を現代的な視点で再構築したものであり、「名古屋にアクションエンターテインメントを!」というテーマのもと、2020年に立ち上がった30-DELUX NAGOYAの決定的な公演となった。
幕を開ける新しい挑戦
本作の脚本・演出を手がけたのは、若手注目株の斎藤美七海。彼女は30-DELUXの数多くの作品に携わり、独自の美意識で演出を施してきた。観客を惹きつけるのは、迫力のある殺陣やアクションシーンであり、同時に登場人物の内面をしっかりと描いているところが魅力的だ。彼女の手腕により、現代を生きる私たちに響く深いメッセージが届けられた。
新たなキャストの挑戦
源九郎判官義経を演じたのは、今波に乗るカラフルダイヤモンドの設楽賢。彼にとって初主演となる本作では、若さとひたむきさを持ちながら、葛藤や成長といった複雑な内面を精緻に演じ上げた。弁慶役には内海太一が配され、強い絆で結ばれた義経との関係性をリアルに描いた。一方で、静御前役には元SKE48の岡本彩夏、いがみの権太役には関優樹が出演し、名古屋を拠点に活躍するフレッシュなキャストが揃ったことで、舞台には強い活気がもたらされることとなった。
スペシャル公演の開催
12月20日には特別公演もあり、この日は30-DELUX NAGOYAメンバーが物語の中心キャストを担う一夜限りのもので、静香御前役を池谷優奈、佐藤忠信役を眞野颯が演じ、彼らの存在感と団結を印象づける場となった。
公演中には一部キャストの変更もあったが、全員が一気に団結し、最後まで演じ切った。本作は30-DELUX NAGOYAが名古屋から推進するエンターテインメントの新たな可能性を感じさせるものであった。
観客とキャストの心のつながり
公演を終えたキャストたちが寄せたコメントからは、役作りにのめり込んだ姿勢や、仲間との絆を大事にして全力で役に挑んだ熱意が伝わってくる。義経役の設楽は、「役作りに深くのめり込み、毎公演全力を尽くしました」と語り、弁慶役の内海は「仲間と向き合い、全力で挑戦できたことが誇りです」と述べている。
未来への展望
30-DELUX NAGOYAは、名古屋での5周年を迎え、地域の若手を応援する方針を明言している。本作『贋作 義経千本桜』は、その節目を象徴する重要な作品となるだろう。名古屋から新たなエンターテインメントの流れが生まれており、今後の活動がますます楽しみである。
観客は本作を通じて、日本の伝説の物語を新たな視点で楽しむことができ、そしてその中で、演者たちの情熱と成長を目の当たりにしたことで、多くの感動と思索を得たに違いない。これからも30-DELUX NAGOYAのさらなる進化に注目していきたい。
公演概要
- - タイトル: 『贋作 義経千本桜』
- - 脚本/演出: 斎藤美七海
原作概要
源義経は兄に追われながらも、忠臣や恋人と別れ、逃避行を続ける中で、平家の遺臣との因縁が新たな形で再燃するストーリー展開。
本作は、忠義と復讐、虚構と現実、人間同士のドラマを描く壮大な物語であり、観客を感情の渦に巻き込んだ。
参加キャスト
設楽賢、内海太一、岡本彩夏、亀田結心、村瀬文宣、関優樹、Jら、名古屋を中心とした多彩なメンバーが集結した。
名古屋のエンターテインメント文化の新たな一歩として、多くの観客に感動を与えた本作。今後の展開がますます楽しみである。