看護師のキャリアを支える新プラットフォーム「ジストリー」誕生の背景と展望

看護師をはじめとした医療業界では、現在就職や転職が活発で、求人数が多くなっています。しかし、その一方で、看護師と医療機関との間での「想い」や「学ぶ意欲」などのすり合わせが不足しているため、早期離職につながるケースが目立っています。この深刻な課題を解決するため、看護師のスキルや学習履歴を見える化する新しいプラットフォーム「ジストリー」が誕生しました。

市場の現状

厚生労働省のデータによりますと、全体の有効求人倍率は1.21倍ですが、看護師の場合はパートを含めると2.20倍、パートを含まない場合は2.42倍になることが確認されています。このように、看護師が非常に求められている市場において、転職や就職のチャンスは多いものの、シフトや勤務条件だけにとどまらず、個々の看護師の意向やキャリアパスをじっくりと考慮することが難しい現実が横たわります。

ジストリーの誕生

ジストリーの代表、河京子氏と山本遼太郎氏は、転職や就職におけるゴールを「想いを実現すること」にシフトし、看護師が自己のキャリアをもっと自由に描ける社会を実現したいと考えています。2020年にアメリカで始まった「Learning and Employment Records（LER）」の概念を参考に、ジストリーは看護師に特化したスキル・学習履歴見える化プラットフォームとしての第一歩を踏み出しました。

このプラットフォームを通じて、看護師は働いている間でもキャリアアップの手助けを受けることができるようになります。採用マッチングアプリとしての機能から始まり、将来的には多くの看護師のニーズに応える機能の拡充を目指しています。

ジストリーの主要機能

1. 学びたいことややりたいことを基にした医療機関とのマッチング
ジストリーでは、看護師が自身の学びたいことや今後のキャリアに合わせた条件を登録して、医療機関とマッチングされる仕組みを採用しています。これにより、働く意欲が高い看護師と医療機関の理想的な出会いを実現し、早期離職の防止にも寄与します。

2. 経験豊富で成長意欲の高い看護師が中心
ジストリーに登録する看護師は、実務経験が3年以上あり、業務に対する成長意欲を持つ方々が中心です。単なる転職希望者ではなく、学びやキャリア形成に積極的に取り組む看護師たちが集まっています。

3. 医療機関からのダイレクトスカウト機能の提供
医療機関は、1to1で看護師たちにアプローチすることが可能で、従来の一斉送信ではなく、個別にカスタマイズされたスカウトメールを送ることができます。これにより、一人ひとりに最適なオファーを提供しやすくなります。

4. 看護師コミュニティの協力による機能改善
約20名の看護師がコミュニティを形成し、彼らの意見を反映させることで、ユーザーのニーズに応じた開発や改善を進めています。実際に看護師としての経験を持つ彼らの視点から、より実用的なサービスを提供することができます。

今後の展望

ジストリーは、看護師の日々の学びやキャリア形成を支援し、より多くの看護師が自分らしく活躍できる社会を創造することを目指しています。また、看護業界における更なる機能拡大を図り、最終的には他職種への拡大も視野に入れています。看護師の「働く理由」や「想い」を尊重し、彼らの学びをより豊かにするサービスの提供が期待されているのです。

今後、看護業界だけでなく、広く医療関係の職種にも特化していくことで、全ての医療従事者がより良い環境で働けることを実現していくでしょう。この「ジストリー」が、多くの看護師たちにとって自分のキャリアを積極的にデザインできる場所となることを期待しています。