大林財団、ホー・ルイ・アンを第5回助成対象者に選出
公益財団法人大林財団が行う制作助成事業《都市のヴィジョン—Obayashi Foundation Research Program》の第5回助成対象者に、シンガポール出身のアーティストであるホー・ルイ・アン氏が選ばれました。この取り組みは、アーティストが「都市」をテーマにし、新たな視点から都市像を提示することを目的としています。ホー・ルイ・アン氏は、現代美術や映画、パフォーマンス、ならびに理論の交錯点において活動しており、これまでに数々の国際的な展覧会にも参加してきました。
アーティストの視点
今回の選出について、選考委員長の野村しのぶ氏は、ホーの視点が「メタ市場」という都市の基盤を浮かび上がらせるものであると評価しています。ホーは、歴史的条件がどのように現代の国家や市場メカニズムに影響したかを分析し、その視点から東アジアおよび東南アジア地域を考察しています。この研究を通じて、どのように都市と現代社会の関係性が明らかになるのか、非常に期待されるところです。特に、彼の若い世代のアーティストとしての新鮮な提言がどのように展開されるかに注目が集まっています。
過去の受賞者と独自の視点
これまでの助成対象者には、会田誠、シアスター・ゲイツ、exonemo、イム・ミヌクといった著名なアーティストが名を連ねています。彼らもそれぞれ独自のアプローチで都市について考察し、新たな視点を提供してきました。ホー・ルイ・アン氏もまた、この流れを受け継ぎ、2025年度までの活動期間において、都市の有り様を再考する機会を得ました。
研究テーマと成果発表
ホーの研究は、歴史資料や現代の文化的資料を広く調査することに基づき、レクチャーやパフォーマンス、映像作品として発表される予定です。具体的には、グローバル資本主義システムに対する批評的視点を通じて、「価格」を基軸に東アジアおよび東南アジアの経済や社会の成り立ちに迫ります。これにより、これからの都市を形作る新たなナラティブが生まれることを期待されています。
助成プログラムの意義
この制作助成事業は、アーティストが「都市」をテーマに研究し、新しい考察を行うための機会を提供しています。大林財団は、これまでもさまざまなアーティストに支援を行い、独自の視点から都市のさまざまな問題を考察してもらう取り組みを継続してきました。今後は、ホー・ルイ・アン氏の研究成果がどのように発表されるのか、その動向が注目されています。
この新たな視点を持つアーティストが、どのように都市の未来を描き出すのか、その行方に期待が寄せられています。大林財団は今後もアートを通じた都市づくりを進めていくことで、豊かな社会の実現を目指しています。