「CREA夜ふかしマンガ大賞2025」受賞作の発表
2023年10月15日、株式会社文藝春秋のウェブサイト『CREA WEB』で第4回「CREA夜ふかしマンガ大賞」の受賞作が発表されました。今年の第1位に輝いたのは藤見よいこさんの作品『半分姉弟』(リイド社)です。
この賞は、夜のひとときを楽しむマンガ作品に光を当てるもので、全ては仕事や子育てで多忙な大人の女性たちに捧げられています。近年のデータによると、特に電子書籍の購入が夜22時以降に集中しており、深夜になるとその傾向は一層強まります。マンガは、日中の喧騒から解放される瞬間に、新たな物語に心を寄せる手助けをしてくれる重要な存在となっています。
今年の注目ポイント
特に注目すべきは、今年の選考に初めて、15名のマンガ編集者が参加した点です。また、特別選考委員として、人気テレビプロデューサーや著名漫画家など、業界で多方面に活躍するメンバーが集まり、各々が個人賞を選出しました。
受賞作『半分姉弟』の世界
『半分姉弟』の主人公は、フランス人の父と日本人の母を持つ褐色の肌の米山和美マンダンダ。物語は、彼女の弟が自らの名前から「マンダンダ」を外したことを告白する場面から始まります。和美は「黒人ライター」としてWEBで活動し、その経験を通じて、社会で感じるアイデンティティの葛藤や孤独を描いています。
本作は「わかりあえない」というテーマを扱いつつも、エンタメ性が高く、多くの支持を集めています。読者は、登場人物の感情を共に感じることで、彼らが抱える問題に対して一層の理解を深めるでしょう。
作者・藤見よいこの思い
藤見さんは福岡県出身で、スペイン人の父と日本人の母を持ちます。デビュー作『ふたりじめ 戦国夫婦物語』から多くの作品を発表し、今回の受賞に対しては、「もっと多くの人に読まれてほしい」という強い思いを語りました。特に、自身のルーツを生かした作品作りを志向しており、これからの作品にも期待が寄せられます。
選考委員の声
受賞に至った理由として、選考委員たちは「違うことがもたらす孤独感」や「他者を理解しようとする尊さ」が描かれている点を評価しました。特に、当事者ならではの繊細な視点から、テーマが丁寧に描かれていることが高い評価を受けています。
受賞式の様子
10月上旬に行われた授賞式には、藤見さんが出席し、受賞の喜びを語りました。「『半分姉弟』を通じて、皆さんにまだ語られていない物語を届けられれば幸せです。」と強い決意を示しました。
大賞受賞作品と他の入賞作
第2位には清野とおるの『壇蜜』、第3位にはイシコの『邪神の弁当屋さん』、第4位には児島青の『本なら売るほど』など、さまざまなテーマを扱った作品がランクインしています。
これらの作品は、いずれも現代社会における重要なテーマを掘り下げており、読者に新たな視点を提供する優れたマンガです。
「CREA夜ふかしマンガ大賞」とは
「CREA夜ふかしマンガ大賞」は、思わず夜遅くまで読んでしまいたくなるような、いま最もお勧めしたいマンガに贈られる賞です。毎年、多くの作品がエントリーし、読者にとっての新たな発見となることを目指しています。
これからのマンガの世界に、藤見さんをはじめとする新たな才能たちがどのように寄与していくのか、今後の展開に期待がかかります。ぜひ、彼女の作品を手に取ってみてください。