ふくらはぎが細くなったら筋量減少のサイン?
最近、公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所の川上諒子研究員と早稲田大学スポーツ科学学術院の谷澤薫平准教授らの研究によって、ふくらはぎ周囲長と筋量変化の関係が明らかになりました。この研究は、健康維持や筋量の重要性を理解する上での重要な成果をもたらしています。
研究の背景と意義
筋量は若年期をピークに加齢と共に減少し、高齢期には特にその減少が顕著に現れます。筋量が不足すると歩行速度が低下するなど、日常生活に多大な影響を与えます。しかし、筋量を測定するには高度な機器が必要であり、自分の筋量を把握することは非常に困難です。そこで、研究チームは簡便なスクリーニング法の一環として、ふくらはぎ周囲長に着目しました。
研究方法
本研究は2015年から2024年までの間に行われた「WASEDA'S Health Study」に基づいています。この研究は早稲田大学の卒業生およびその配偶者を対象としており、227名の日本人成人(男性149名、女性78名)が参加しました。参加者のふくらはぎ周囲長と四肢筋量を測定し、その関係性を縦断的に分析しました。
研究結果の概要
調査の結果、ふくらはぎ周囲長の変化と筋量の変化には正の相関関係があることが確認されました。ふくらはぎが細くなると筋量が減少する傾向が見られ、これは年齢や肥満状況にかかわらず成立することが示されました。特に、ふくらはぎ周囲長の変化は脚の筋量の変化とは強い関連性があることがわかりました。
今後の展望
本研究の成果は、日常生活の中で簡単に筋量の変化をモニターできる可能性を示唆しています。ふくらはぎ周囲長をチェックすることを通じて、誰もが筋量の減少に早期に気づくことができれば、早めの対策が可能となります。筋量や筋力の低下は「サルコペニア」と呼ばれ、品質生活(QOL)の著しい低下をもたらしますが、適切な運動やトレーニングによって改善が期待できます。
結論
ふくらはぎのサイズの変化に注目することで、筋量減少への警鐘に役立てることができるでしょう。筋力トレーニングを通じて、年齢に関係なく、健康な生活を維持する重要性がますます浮き彫りになります。健康寿命の延伸に寄与するこの研究は、広く市民に活用されることが期待されます。今後も様々なエビデンスを基に、健康の維持・増進に向けた取り組みを進めていきたいと思います。