小型ダイレクトToF 3D LiDARモジュールで変革するセンシング技術の未来
STマイクロエレクトロニクスが新たなテクノロジーを発表しました。それは業界最高水準の解像度と性能を誇る小型dToF(ダイレクトTime-of-Flight)3D LiDARモジュール「VL53L9」です。この革新的なモジュールは、2.3Kゾーンの解像度と広い視野角を特徴としており、オールインワンの設計と高速100フレーム/秒というデータ処理能力をも兼ね備えています。5cmから9mの範囲で物体を測距可能であり、この技術はロボティクスやFA(ファクトリオートメーション)、スマートビル、AR/VR、ヘルスケアといった多様なアプリケーションへの応用が期待されています。
VL53L9は、最新機能がコンパクトに集約されており、計算リソースに限りのある小型マイクロコントローラでも利用しやすいデータ出力を提供します。STマイクロエレクトロニクスのイメージング・サブグループのエグゼクティブ・バイスプレジデントであるアレクサンドル・バルムフレツォル氏は、「VL53L9は、高解像度の深度データと最大100フレーム/秒のデータ処理速度を持つ横断的なモジュールであり、ロボティクスやスマートインフラなどのアプリケーションに必要な柔軟性を提供します」と述べています。
さらに、市場における3Dセンシングの需要は高まり続けており、ロボットとFA、インテリジェントな家庭用機器への応用が進展しています。Yole Groupのアナリスト、アナス・シャラク氏は「3Dセンシング技術の採用はスマートフォンの枠を超え、ナビゲーション、人物検知、ジェスチャ認識などへの活用が広がっている」と指摘します。
VL53L9の特徴
VL53L9は、54° x 42°の広視野角を持ち、2,268の高解像度を実現しています。これにより、小さな物体の輪郭やエッジも詳細に検出可能です。ST独自の積層型BSI SPADセンサー技術とメタサーフェス光学素子を駆使して、5cm未満から9mまでの距離で0.01mの精度を実現。また、100フレーム/秒のデータ処理速度によって迅速な反応が可能です。
さらに、VL53L9はデュアルスキャン・フラッド照明技術を用いることで、モーション・アーティファクトの低減やデッドゾーンの解消を図っています。この新技術は、2D赤外線情報と3D深度情報を相補的に取得でき、後処理の簡素化と低コストでのエッジAIシステムへの統合を実現しています。
多様な適用事例
VL53L9は、さまざまな産業分野において利用されています。ロボティクス分野では、小型物体の高精度検出から自律移動の障害物回避まで支援します。ファクトリーオートメーションでは、容器内の内容物の体積測定を可能にし、効率と在庫管理を大幅に向上させます。また、スマートビル関連の技術としては、ユーザーのプライバシーを尊重した人数カウントや信頼性の高いユーザー検出が実現されています。
ヘルスケアと安全への役割
ヘルスケア領域において、VL53L9は高齢者の転倒防止や患者のモニタリングソリューションとしての役割も果たします。これにより、安全性の向上はもちろん、高齢者ケアにかかわるスタッフの負担軽減にも寄与します。
技術的な詳細
JL53L9のサイズは、わずか12.8 x 6.1 x 4.6mmで、リフロー対応が可能です。また、1.2Vおよび3.3Vのデュアル電源で動作し、MIPIやI3Cインタフェースと互換性があります。このモジュールは、レーザー安全基準のクラス1に準拠しており、安全性の確保にも配慮されています。
今後、VL53L9は2026年7月から量産が開始される予定です。詳細情報は、STマイクロエレクトロニクスの公式ウェブサイトをご覧ください。STは、約49,000人の従業員を抱えながら、持続可能な社会の実現に向けた半導体ソリューションの開発を進めています。