進化するアメリカの右派思想
2025年1月に発足したトランプ政権は、今やアメリカ国内外で混乱を引き起こしながら進行しています。その政策はしばしば予測困難であるように見えますが、多くの思想家たちがこの政権を支えるブレーンとして存在しています。
井上弘貴氏の新著『アメリカの新右翼:トランプを生み出した思想家たち』では、この政権を形作っている思想の背景を深く掘り下げています。ここでは「第三のニューライト(新右翼)」と呼ばれる思想家たちが、リベラルな価値観に挑戦し、社会を再構築しようとするその意図について分析されます。
著書では以下のような重要な思想家たちが取り上げられています。
- - R・スペンサー:白人ナショナリズムのカリスマであり、オルトライトを生み出しました。
- - Y・ハゾニー:イスラエルのシオニストであり、国民保守主義のリーダーです。
- - P・デニーン:ヴァンス副大統領の盟友として知られる、ポストリベラル右派の急先鋒です。
これらの思想家たちは、決して同じ視点を持っているわけではなく、むしろ対立することも多いのが現状です。そんな彼らの間での矛盾や反目は、トランプ政権の不可解な政策を生む一因にもなっています。
本書を読み進めることで、トランプ政権の背後にある思想的基盤と、それがどのようにしてリベラルデモクラシーへの不信感を助長しているかを理解する助けになるでしょう。
アメリカの新右翼に迫る著者の視点
井上氏は、本書を通じて現在アメリカで進化する右派思想について考察します。彼曰く、今の新右翼は従来の右派とは異なり、古典的自由主義や民主主義に対して懐疑の目を向けているとのことです。
特筆すべきは、テクノロジーの受容が進む一方、ナショナリズムやキリスト教的価値を重視する姿勢が見受けられるという点です。この右派の思想的再編を理解することが、今後のトランプ政権の行く末を占うためには不可欠です。
著者の経歴と著書
井上弘貴氏は東京都生まれ、政治学の専門家として神戸大学の教授を務めています。多くの論文や著作を持つ井上氏は、トランプ政権の思想的根底を探る過程で、アメリカ政治思想史を深く掘り下げています。
トランプ政権は、リベラルな価値観に反発する新しい思想の旗手たちによって支えられており、その影響はアメリカ国内だけでなく、国際情勢にまで波及しています。この書籍は、今後の世界情勢を考える上で重要な手がかりを提供してくれることでしょう。
書籍詳細
この本は、トランプ政権とその思想家たちの内情を理解するための貴重な資料となることでしょう。