女性初の清水焼絵付け師、入江裕起の遺した図案集
2025年1月11日、京都市東山区に位置する高台寺まほうやより、女性初の清水焼絵付け師・入江裕起が遺した図案集「包みの姿」が刊行されます。この図案集には、650枚を超える多彩な図案が収められており、彼女の独自の芸術観をひも解く貴重な資料となっています。
入江裕起とは?
入江裕起(本名:入江ヒロ子)は、1932年に京都で生まれ、2021年に90歳で生涯を閉じました。1950年には京都府立陶工公共職業補導所を修了し、数々の受賞歴を持つ実力派の絵付け師として名を馳せました。入江氏は1967年に女流陶芸部門で毎日新聞社賞を受賞し、その後も精力的に活動を続けました。
彼女は1972年に岩國起久雄氏と共に裕起陶芸を設立し、陶磁器のデザインと絵付けに従事。しかし、彼女が特に注目されるきっかけとなったのは、京焼・清水焼の伝統工芸士として認定された2004年頃からです。88歳で亡くなる2ヶ月前まで続けた創作活動は、彼女の情熱と技術の証です。
図案集「包みの姿」の魅力
「包みの姿」には、入江裕起がその晩年に手がけた膨大な図案が記されています。多くの図案は、彼女が紙の裏側を利用して折り畳み、筆を使って楽しんで描いたものです。色と絵柄は彼女の心に浮かんできたものであり、その自由な発想と芸術的なセンスが凝縮された仕上がりとなっています。
この一冊の中には、全て異なるデザインが650枚も収められているため、アートやデザインに興味のある方々には特にインスピレーションを与えることでしょう。また、入江裕起の人間性や彼女の作品に込められた思いが詰まった集大成でもあり、今後のクリエイターたちにも影響を与えることが期待されます。
書籍の詳細
この書籍は高台寺まほうやで販売され、定価は税込3,300円です。販売の開始は2025年1月11日からで、購入は実店舗やオンラインショップでも可能です。編集には伊豆田千加氏と古屋歴氏が関与しており、協力者には松本洋子、平野和子、入江聰氏が名を連ねています。
また、書籍の売上は2025年に開催予定の入江裕起作品展示販売会の運営費用に充当されるとのこと。展示販売会では、過去の作品だけでなく、遺作である「包みの姿」をテーマにしたマグカップも展示される予定です。
高台寺まほうやについて
高台寺まほうやは、高台寺の塔頭・圓徳院境内に位置し、京焼・清水焼の様々な製品を取り扱っています。訪れる人々は、入江裕起の作品だけでなく、伝統工芸に触れる貴重な機会を得ることができます。清水焼の魅力や芸術的背景に興味がある方には、ぜひ足を運んでほしい場所です。
入江裕起さんが遺した芸術の息吹を感じることができる「包みの姿」、今から楽しみにしましょう。