ABB技術導入で日鉄高炉セメントが省エネと品質向上を実現
日鉄高炉セメント株式会社が、ABBの先進プロセス制御ソリューション「ABB Ability™ Expert Optimizer」を導入したことによって、北海道の室蘭事業所におけるエネルギー消費の削減と製品品質の向上を達成しました。具体的には、熱原単位を2.2%削減し、製品品質を約10%向上させることに成功しました。
この成功は、ABBのデジタルソリューションの導入により実現されています。Expert Optimizerの導入によって焼成工程、つまり仮焼炉、キルン、クーラーを自動化・最適化し、オペレーションの効率を大幅に向上させました。特にモデル予測制御(MPC)を採用することで、プロセス運転の安定性が高まり、人間による手動操作を大幅に削減。オペレーターの介入が約80%減少しました。
自動化によるプロセスの一貫性
Expert Optimizerの初期導入が完了した後、自動運転の比率は90%以上に達しています。これにより、オペレーターによる手動操作が劇的に減少し、プレヒーターの清掃時や異常運転の状態でも安定したプロセスの制御がなされています。オペレーターへの実行状況の提供により、プロセスの継続的な改善とイノベーションの創出も促進されています。
日鉄高炉セメントは製鉄事業の一環として高炉セメントを製造しており、自動化と自律運転の実現が求められています。この高炉セメントは、クリンカーの一部を高炉スラグに置き換えることで、CO₂の排出量を約40%削減する低炭素セメントとしての位置付けもされています。
ABB Ability™ Expert Optimizerのメリット
ABB Ability™ Expert Optimizerは、ABBが長年にわたり蓄積してきたプロセスインダストリーの知識に基づいて開発されました。このソリューションはAIとモデリング予測制御(MPC)を駆使し、温度や圧力、排ガス濃度などの変動要因に自動的に対応します。これにより、さらなる排出量の削減を実現し、生産効率の向上、コストの削減、品質の維持を可能にします。
室蘭工場では年間約160万トンのセメントを生産しており、この効率化がもたらす影響は大変大きいものです。
カーボンニュートラルへの取り組み
日鉄高炉セメントの室蘭事業所の工場長、阿部浩之氏は次のように述べています。「カーボンニュートラルの実現に向けて、オペレーターの手動操作の削減と化石燃料消費量の低減が重要な課題です。ABB Ability™ Expert Optimizerは、それらの目標を達成するための最適なソリューションとして採用しました。」
このソリューションにより、プロセスの安定性、クリンカー品質、全体的な運転の一貫性において顕著な改善がみられています。
ABB株式会社のオートメーション事業部の依田裕道事業部長は、この技術がオペレーションの効率化、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、そして熟練人材不足の解消を助ける重要な鍵であると強調します。運転条件の変化に応じてモデルを継続的に改善・更新できる点も大きな特徴です。
ABBは、電化とオートメーションの分野で世界をリードする技術力を持ち、持続可能で資源効率の高い未来に向けて努力しています。これからもABBと日鉄高炉セメントの密な連携を通じて、さらなる効率的なプロセス運営とパフォーマンス向上を目指していくでしょう。