妊婦のための新しいトキソプラズマ検査薬、日本で初の承認取得
アボットによる新しいトキソプラズマ検査薬の承認
アボットジャパン合同会社が、妊婦の健康管理に新たな選択肢を提供する「Toxo-IgG Avidity・アボット」を開発し、2024年10月10日付で厚生労働省から製造販売の承認を得た。この検査薬は、日本大学、東京大学、福島県立医科大学などとの共同研究に基づき、トキソプラズマ感染の時期を推定するために設計されている。妊婦においては、トキソプラズマ感染が胎児に影響を及ぼすことが懸念されるため、正確な感染時期を把握することが特に重要である。
トキソプラズマ症は、寄生虫であるトキソプラズマ原虫によって引き起こされる感染症であり、特に妊婦が初めて感染することによって、胎児に感染するリスクがあります。この新しいアビディティー検査薬は、妊娠初期に感染の疑いがある場合に、現在行われている抗トキソプラズマ抗体検査に追加して使用できる。検査結果が高値であった場合、妊婦は医師と相談の上で発症抑制薬の中止を検討できる。
トキソプラズマ検査の重要性
日本では、年間130〜1,300人の先天性感染児が発生することが推定されており、妊婦がトキソプラズマ原虫に初感染することは深刻な健康問題です。感染した場合、胎盤を介して胎児に感染し、場合によっては先天性トキソプラズマ症を引き起こすことがあります。この疾患は、視力障害や脳性麻痺などの障害を引き起こす可能性があり、重篤な結果を招くこともある。これにより、妊婦やその家族は常に不安を抱えることになります。
従来の抗トキソプラズマ抗体検査では、感染時期を判断するのが難しいため、初感染の可能性がある妊婦は長期間にわたり抗菌薬を服用する必要がありますが、これが精神的な負担をもたらしていることも指摘されている。アボットの新たな検査薬は、この負担を軽減するための手段となることが期待されています。日本大学の森岡一朗教授は、「Avidity検査は、より高い精度で感染時期を推定できる」とし、この検査が胎内感染リスクを評価するために有用であると強調している。
今後の展望
アボットの代表執行役員社長、武知秀幸は、「日本の少子高齢化が進む中、妊娠中の女性が安心して出産を迎え、自らのお子さんが健康に成長できる環境を整えることが重要である」と述べ、本検査薬の迅速な発売と普及に向けた取り組みを約束している。この検査薬は、メディカルケアの向上や、妊婦のストレス軽減に寄与することが期待される。
まとめ
「Toxo-IgG Avidity・アボット」の承認により、妊婦のトキソプラズマ感染に対する新しい診断の道が開かれた。アボットは、今後も妊婦が安心できる医療環境の提供を目指し、革新的な医療技術の開発に取り組んでいく。日本における妊婦健診のスタンダードが変わる中、母子の安全を守る新しい選択肢としての位置づけにも期待が高まっている。
会社情報
- 会社名
-
アボットジャパン合同会社
- 住所
- 東京都港区三田3-5-27住友不動産三田ツインビル西館5F
- 電話番号
-
03-4555-1000