第34回山本七平賞 受賞作決定のお知らせ
9月12日、株式会社PHP研究所が主催する第34回山本七平賞の最終選考会が、東京・人形町の「玄冶店 濱田家」にて開催されました。この賞は、故・山本七平氏の著作とその活動を顕彰するもので、今回は渡邉雅子氏の著書『論理的思考とは何か』が受賞しました。
受賞作には、賞金として300万円と特製の腕時計、そして山本七平の著作『静かなる細き声』の特装版が授与されます。贈呈式は11月13日に都内にて行われる予定です。
山本七平賞の意義
山本七平賞は、平成4年に創設され、山本氏が遺した思索や著作物を広めることを目的としています。対象となる作品は前年の7月1日から当年の6月末日までに発表された書籍や論文で、選考は著名な学者たちが行います。
選考委員には、伊藤元重(東京大学名誉教授)、中西輝政(京都大学名誉教授)、長谷川眞理子(日本芸術文化振興会理事長)、八木秀次(麗澤大学教授)、養老孟司(東京大学名誉教授)の5名が担当しています。
受賞作について
受賞作品『論理的思考とは何か』は、2024年10月18日に出版される予定の岩波新書からの一冊です。著者の渡邉雅子氏は、1960年長野県生まれで、コロンビア大学で博士号を取得後、名古屋大学大学院で教授として教育と発達に関する研究を行っています。
彼女の著書では、論理的思考とは何かについて深く考察しており、思考の目的に適した方法を選ぶ重要性が説かれています。論理学やレトリックだけでなく、科学や哲学の推論の型、さらには経済や政治、法技術、社会の各分野においても多元的な思考法が必要であることを示唆しています。
具体的には、④つの思考法を使い分けることが、より効果的な思考を助けるという観点から、読み手に多様な思考の重要性を伝えています。
渡邉雅子氏の業績
渡邉氏は、著書『「論理的思考」の文化的基盤――4つの思考表現スタイル』(2023年)、『「論理的思考」の社会的構築――フランスの思考表現スタイルと言葉の教育』(2021年)、および『納得の構造――日米初等教育に見る思考表現のスタイル』(2004年)等、多くの著作を発表しています。また、比較文化や知識社会学といった分野でも評価されており、その研究は教育界でも注目されています。
このたびの山本七平賞受賞をきっかけに、彼女の研究がさらに多くの人々に広がることを期待しています。
まとめ
山本七平賞の受賞は、渡邉雅子氏のこれまでの努力と成果が認められる大きなステップです。今後も多様な思考がより良い社会を作る鍵となることを願っています。