ロボット導入を加速する共創基盤開発プロジェクト、NEDO事業に採択

ロボット導入を促進する新たな共創基盤の開発

川崎重工業株式会社、NTTビジネスソリューションズ株式会社、株式会社ダイヘンなど7社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した事業において、「SI効率化と多彩なロボットシステムの創出を実現する共創基盤開発」を提案し、見事に採択されました。このプロジェクトは2025年度から2027年度の間に研究開発が進められる予定です。

背景

少子高齢化が進行する日本では、慢性的な労働人口の減少が社会的な課題となっています。これに対処するために、様々な分野でロボット技術の導入が進められているものの、導入コストや技術の難易度から未だ活用されていない領域も多く存在しています。これらの未活用領域は「ロングテール市場」と呼ばれ、特に注目されています。そこに新たなビジネスチャンスを見出し、効率的にロボットを活用する基盤を構築することが本事業の主な目的です。

目指す共創基盤とエコシステム

本事業では、様々な経験と技術力を持つ7社が協力し、ロボットの機種や適用に関わらず利用できる「共創基盤」を整備します。この基盤は、ロボットシステムインテグレーションに役立つツールやモジュール、サブシステムを統合し、安全に運用可能なロボットシステムを提供することを目指しています。

また、エコシステムの形成を通じて、ロボット業界のステークホルダーとの連携も強化します。これにより、情報の連携や分業体制に基づいたルールや仕組みを整備し、さまざまな立場の参加者が自由に活動できる環境を整えることが重要です。新たなプレーヤーとして、ロボット向けアプリ開発者の参入も促進され、多様なニーズに応える体制が構築されていきます。

実証のためのユースケース開発

さらに、このプロジェクトは実際のロングテール市場を対象に、共創基盤とエコシステムを活用したロボットの導入・運用の実証を行う予定です。具体的には、多品種少量生産が要求される工作機械製造現場や、食品工場での弁当盛付など、多様なユースケースを想定しています。これにより、ロボットの導入とシステムインテグレーションを実際の業務でどのように実現するかを具体的に示すことになります。

参加企業のコメント

各社の代表者は、この事業に対する期待を寄せています。川崎重工業のロボットディビジョン長の坂東賢二氏は、採択されたことを「大変光栄」とし、現場の課題に寄り添った技術社会実装への意欲を示しています。NTTビジネスソリューションズの中西孝一氏は、人材不足が進む中でのDX推進の重要性を強調し、多様なロボットの協調動作を支える環境整備へ向けて貢献する意向を示しています。

このように、各社がそれぞれの強みを生かし、ロボット技術の実用化を加速させるための取り組みが進められます。共創基盤とエコシステムを通じて、持続可能な未来の実現を目指すこのプロジェクトは、労働力の不足という社会課題の解決にも寄与することでしょう。