子どもの肥満問題
2025-09-10 09:20:44

ユニセフ最新報告:子どもの肥満が深刻な健康問題に

ユニセフ最新報告:子どもの肥満が深刻な健康問題に



2025年9月に発表されたユニセフ(国際連合児童基金)の新たな報告書は、現在の子どもの栄養状態に関する緊急の警告を発しています。この報告によれば、世界中の学齢期の子どもや若者の10人に1人、およそ1億8,800万人が肥満であるとのことです。この肥満は、命を脅かす病気のリスクを高め、ますます深刻な問題となっています。

報告書「子どもの栄養報告書2025 ~利益優先の食環境が子どもたちに与える悪影響」では、2000年以降、5歳から19歳までの低体重の割合は減少している一方で、肥満の割合が著しく増加していることが明らかにされました。具体的には、低体重の割合は約13%から9.2%に減少したのに対し、肥満の割合は3%から9.4%に上昇しています。特に、サハラ以南のアフリカと南アジアを除くすべての地域で、肥満率が低体重よりも高い状況が続いています。

肥満率が最も高いのは、一部の太平洋の島国です。例えば、ニウエでは38%、クック諸島では37%、ナウルでは33%もの子どもが肥満状態にあり、いずれの数値も2000年以降に倍増しています。その理由として、伝統的な食文化から、高カロリーで安価な輸入食品中心の食事へのシフトが挙げられています。過去の栄養に関する観点から見ると、肥満は単なる個人の問題ではなく、食品業界の利益優先の方針による結果であると指摘されています。

ユニセフのキャサリン・ラッセル事務局長は、栄養不良がもはや低体重だけの問題ではなく、肥満が子どもの成長や健康に深刻な影響を与えていると語っています。特に、子どもの成長段階においては、栄養が極めて重要であり、超加工食品が果物や野菜、タンパク質に取って代わる動きが迅速に進行している現実を警告しています。

さらに、多くの高所得国でも、肥満率は依然として高い状態です。例えば、アメリカでは21%の子どもが肥満であり、アラブ首長国連邦でも同様の数字が報告されています。こうした状況の中で、ユニセフは健康的な食生活を促進する努力が急務だと訴えています。

また、報告書では、低・中所得国においては、5歳未満の子どもにおける消耗症や発育阻害が依然として深刻な問題である一方で、学齢期の子どもや若者の間では肥満が急増しているという二重の課題を指摘しています。具体的には、世界中で5歳から19歳の子どもおよび若者の約20%が過体重であり、これが将来的に命に関わる病気のリスクを高める要因となっているとされています。

肥満はインスリン抵抗性や高血圧といった健康リスクを引き起こすばかりでなく、2型糖尿病や心血管疾患、さらには特定のがんのリスクも高まります。最近の調査では、広告の影響でファストフードやスナックへの需要が高まる現状が浮き彫りになっています。ユニセフの「U-Report」を用いた世界規模の調査結果によれば、回答者の多くが広告を視聴し、それが食生活に与える影響を自覚しています。

ユニセフは、この課題への対応策として、包括的な政策措置を求めています。具体的には、食品表示や販促の規制、教育機関における超加工食品の販売禁止などが挙げられます。また、健康的な食環境の創出のためには、家庭やコミュニティが健康的な食事を求める力を持つよう促進することも重要です。さらに、経済的配慮が必要な家庭が栄養価の高い食品を手に入れられる施策の強化が求められています。

ユニセフ事務局長は、栄養不良の二重負荷を解消するためには、的を絞った介入が必要だと強調し、子どもが持つ権利を基に、全ての子どもが健康的な食事を確保できる環境を整える必要があると述べています。これに対応するため、日本でも肥満率の上昇が見受けられる中、今後の対策が重要です。

最後に、日本のデータによると、5歳から19歳の子どもにおける肥満の割合はほぼ一定で、2000年と2022年で4%と同数であることが報告されています。また、過体重の割合は上昇傾向にあり、今後の対策が急務であることを改めて示しています。

この問題は、子どもだけでなく、将来の世代にも影響を与える重要な課題です。今後、この報告書を元にしたより具体的な施策が求められています。


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会社情報

会社名
公益財団法人日本ユニセフ協会
住所
東京都港区高輪4-6-12ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016

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