エプソンが牛の体型指標(BSC)評価システムを開発
エプソンと長野県の共同研究が、牛の健康管理に革命をもたらす新しいシステムの完成を報告しました。このシステムは、農業従事者の手間を軽減し、牛の栄養状態や繁殖能力を評価するために設計されたものです。牛の体型指標(BCS)は健康管理において重要な情報を提供しますが、その評価には専門知識を必要とするため、従来の方法では時間と手間がかかるのが難点でした。
目視判定の限界と自動測定の必要性
BCSの評価は主に専門の判定員が行っていましたが、経験則に頼る目視判定のため、現場では定期的な評価の実施が難しかったのです。そこで、エプソンはBCS評価を簡便化し、データを利用しやすくするシステムの開発に着手しました。2021年11月、エプソンは長野県と農業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めることを目的とした協定を結んだことが、プロジェクトの出発点でした。
深度カメラを活用した自動記録
この新システムでは、深度カメラを通路に設置し、牛の動きを自動でトラッキング。日々のBCSデータを記録することで、健康状態を常に把握できるようになります。エプソンと長野県畜産試験場が共同で行った2年間の検証では、AIを使った測定が専門の判定員による評価と同等の精度を持つことが確認されました。これにより、より多くの農家が手軽に牛の健康管理ができるようになります。
今後の展望と商品化の計画
エプソンは今後、長野県内外でさらなる実証実験を実施し、データを蓄積してシステムの改善を進める予定です。この評価システムは、特に広がりを見せる農業DX市場において重要な役割を果たすことが期待されています。特に、牛の飼育数の多い地域では、生産性の向上に貢献することが期待されています。
北海道でのプレゼンテーション
エプソンは2023年11月12日から13日に札幌市で開催される「北海道酪農技術セミナー2024」でもBCS評価システムを紹介します。ブースでは技術の普及を目指し、実証試験への参加希望者も募る予定です。この機会に新たなパートナーシップが形成され、システムの発展に寄与することが望まれています。
エプソンの理念と未来へ
エプソンは『省・小・精』から生まれる価値を通じて人と地球を豊かにする企業理念のもと、これからもDXやAI技術を駆使し地域経済や産業振興に力を入れていく姿勢を示しています。この新しいBCS評価システムの導入により、畜産業界全体に新たな風を吹き込むことが期待されています。