訪日観光を支えるAIチャットボットの実装
株式会社MATCHAは、訪日観光客の声を生かした情報発信支援を目的とした新機能「AIチャットボット」を2024年12月20日に正式にリリースしました。この機能は、MATCHAの観光関連メディアを通じて、リアルタイムで訪日客からのニーズを把握することを可能にします。
インバウンド観光の現状
訪日観光市場の拡大に伴い、観光事業者は訪日客の具体的なニーズを理解することが重要です。しかし、実際には多くの事業者が「訪日客の要求をつかむのが難しい」との悩みを抱えていました。特に地方自治体の担当者からは、「どの情報が効果的なプロモーションに繋がるかが不明」とのフィードバックが寄せられています。
AIチャットボットの役割
MATCHA Contents Manager(MCM)では、この課題に対応するために新機能「AIチャットボット」を導入しました。この機能は、訪日客から寄せられるリアルな質問を集めて分析し、それによって観光事業者が適切な情報を提供できるようサポートします。AIチャットボットは、訪日客の疑問に対しMATCHAに掲載された情報をもとに回答を行い、関連情報をレコメンドします。この機能では、英語版の記事を参照しているだけですが、将来的には多言語対応も進める予定です。
具体的な訪日客のニーズ
実証的に設置が開始されたAIチャットボットには、訪日客からのさまざまな質問が寄せられています。これにより、観光事業者にとって重要なインサイトが得られることとなりました。
1.
季節限定の観光体験
訪日客の中には、紅葉や桜といった季節ごとの景観に興味を示す傾向が強く、具体的な質問が多く寄せられています。「富士山麓での紅葉の有無」や「3月に桜の名所はあるか」といった実際の声が、その顕著な例です。
2.
公共交通機関に関するニーズ
タクシーの予約方法や地元交通機関の利用に関する質問が多かったことから、訪日客は地域に根ざした交通情報にも高い関心を寄せています。「神戸のシティループバスのチケット購入法」や「富士山から河口湖駅へのタクシーの予約が難しいか」といった具体的な質問が寄せられています。
3.
食文化への関心
地域の特産品やグルメに対する興味は非常に高く、「但馬牛を食べられる場所」や「富士河口湖周辺の人気飲食店はどこか」といった質問が多く見られます。
4.
施設内の多言語表記に関する不安
一部の訪日客からは、施設内での英語表記の有無についての質問が寄せられています。これは、多言語化が日本の観光拠点での情報理解に不可欠であることを示しています。「美術館の展示に英語表記はありますか?」といった具体的な質問が、訪日客の不安を反映しています。
5.
ニッチな観光体験への興味
一般的な観光地にとどまらず、ユニークな体験や季節のアクティビティにも多くの訪日客が興味を持っていることがわかりました。「トカプチ400のサイクリングルート」に関する質問や、「2025年3月の野球のプレシーズン日程は?」といった具体的な問いが寄せられています。
今後の展開
現在は英語以外の多言語対応も順調に進められており、韓国語、タイ語、さらには繁体字・簡体字でのサービス提供も視野に入れています。これにより、より多くの訪日客に対して、多様な情報発信を行える環境を整えることが目標です。
まとめ
MATCHAのAIチャットボット導入は、訪日観光事業者がリアルな声を受け取り、より効果的に情報を発信するための一歩となります。この機能の活用により、観光事業者は訪日客にパーソナライズされた価値ある情報を提供し、競争力を高めていくことが期待されます。今後も、訪日観光のリアルなニーズに応え、利用者がよりよい旅行体験を得られるように努めていきます。