海外出張に潜む家族の不安を見つめ直す企業の対応改善が急務
近年、変化する国際情勢の中で海外出張を控える社員が増えているが、その背景には切実な「家庭内の葛藤」が存在する。ノウンズ株式会社と株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)が共同で実施した調査によると、海外出張を計画している社員の配偶者の約90%が渡航に対して不安を抱えているという。
家族の気持ちと現実のギャップ
例えば、調査では7割以上のパートナーが「出張を控えてほしい」と考え、実際にその意見を社員に伝えている家族も約3割を占めている。企業にとっては、社員本人が「仕事だから」と割り切ろうとしても、家族の気持ちが心理的なブレーキとなり得ることが明らかになった。
ファミリー・ブロックの存在
この現象は「ファミリー・ブロック」と名付けられ、社員が無意識のうちに家族からの「見えない不安」という圧力を受けている状態を示す。企業はこれまで完全に「社員の安全」だけに焦点を当ててきたが、今や家族が持つ心理的な不安を無視することはできない。
家族が感じるリスクの高まり
調査によれば、子供がいる家庭でより顕著に表れた家族の不安は、最近のニュースからの影響があふれ出ている。日常的に報じられる暴力事件や無差別殺傷事件が、家族の心理に不安を植え付けている模様だ。実際、約8割の家族が行動制限を求めているとの結果が出ている。
企業の対策に対する家族の信頼度
一方で、企業の危機管理体制に対する家族の評価は芳しくない。調査対象者の中で「企業が具体的な準備をしている」と信じている人はわずか17%に留まった。つまり、企業が社員の安全を確保していても、その情報が家族に届かなければ、信頼感は生まれにくいということが示唆される。
家族を含めた安全施策の必要性
このような現状を打破するための鍵は、家族を含めた安全対策の強化である。具体的には、緊急避難手段や24時間365日のサポート窓口の確保、そしてその内容を家族にきちんと伝えることが重要だ。調査でも、安全対策を開示することで約8割の家族が不安の軽減が期待できると答えている。
企業の新しい責任
企業には、単なる「社員の命を守る」以上の責任が求められている。家族が抱える不安をしっかり受け止め、その対策を具体的に示すことこそ、新たな時代の企業の在り方といえるだろう。今後のグローバルビジネスにおいては、家族の安全と安心をも含めた制度設計が、企業の成功に直結することになる。
まとめ
ノウンズとHISの調査は、海外出張を巡る心理的な課題を浮き彫りにし、企業が新たな視点で家族の不安に対応する必要性を訴えている。今後、家族を含めた安全配慮が求められる中、日本企業はその一歩を踏み出せるかが問われている。