地域づくりにおける新たな挑戦
近年、地域づくりにおいては高齢者支援が重要視されています。和歌山県では、県の「わかやま長寿プラン」に基づき、高齢者が安心して暮らせる地域社会を実現するために、株式会社TRAPEが市町村との連携プロジェクトを実施しました。TRAPEは、人々や組織、地域に新たな価値を提供するwell-beingデザインを通じて、地域の実情に応じた支援を行います。
プロジェクトの目的と内容
TRAPEは、令和6年度の和歌山県地域支援事業に関する市町村伴走支援業務を受託。具体的には、特定の市町村に対して、地域支援事業が新たな価値を生み出せるような支援を行いました。そのために、従来の枠組みを超える新たな視点を取り入れ、市町村が将来的に自律的に運営できる体制の構築を目指しました。
プロジェクトでは、定期的な支援会議を設け、地域関係者同士の対話を重視しました。課題を把握し、計画を策定する過程を共に行い、得られた成果を県内全域に共有することを目指しました。TRAPEは、市町村が自走できる体制を構築することに主眼を置きました。
具体的な活動内容
TRAPEの取り組みは多岐に渡ります。まず、市町村の選定から始まり、希望者を公募して説明会を開きました。その後、県と協議の上で2つの市町村を選定し、8か月間の伴走支援プログラムを実施。その中で、現状の把握、課題設定、進捗管理、成果発表会などのプロセスを行いました。
特に重要視されたのは、「ビジョンを共有し、対話を重ね、経験から学び続けること」です。高齢者が自分らしく暮らす理想の姿を関係者が共に描き、それに向けたプログラムを検討しました。具体的には那智勝浦町と日高川町の2つの市町で異なるテーマを設定し、その達成に向けた取り組みを進めました。
那智勝浦町の取り組み
那智勝浦町では、通所型サービスCのモデル事業を開始しました。関係者同士の対話を重ね、「カッコよく歳を取りたい」という願いを具体化し、利用者のセルフマネジメント力を高めるプログラムを設計しました。運動だけでなく、日常生活の中でできるセルフマネジメントに重点を置き、実施されたプログラムは好評を得ました。利用者の心身状態の改善が見られ、関係者全員がその成果を喜ぶことができました。これを踏まえ、今後の支援方法の見直しが求められています。
日高川町の取り組み
一方、日高川町では「バラバラからチームへ」のテーマで介護予防を進めました。地域包括支援センターや介護事業所が個々に動いていた点を改善。関係者が集まり、目的を共有し、元気な高齢者への介護予防の必要性を再認識しました。実際の高齢者のニーズを把握するために、地域をフィールドワークし、彼らが求めていることを探り出しました。その結果、自由な参加が促進される場づくりが進み、住民同士のつながりが生まれました。
まとめと今後の展望
TRAPEの地域支援事業は、高齢者が安心して暮らせる地域空間の創出を目指した取り組みです。関係者が「楽しい」と感じる対話を促し、相互理解を深めることで、今後の介護予防や地域づくりにおいても良好な成果が期待されます。地域のニーズに合った支援を行うことで、高齢者がより自立し、自分らしい生活を送れるよう支援していくことがTRAPEの目標です。今後もこのような実践を通じて、地域における多様な価値を創出していく信念を持ち続けるでしょう。