鳥取県の酪農業界に新風!バイオ炭でCO2削減を目指す取り組み
鳥取県における新たな試みとして、大山乳業農業協同組合、三光株式会社、一般社団法人C2Xが共同で進める「サステナブルな酪農を実現するためのバイオ炭を利用したCO2削減プロジェクト」が、J-クレジット認証を取得したことが明らかになりました。この認証取得は、昨今の環境問題に対する取り組みの一環として、業界の開放的な道を開くものと期待されています。
プロジェクトの背景
このプロジェクトは、地域で回収された下水汚泥の有効活用を目指しています。三光株式会社からの声かけにより、大山乳業は酪農ビジョンとして掲げているCO2削減の一環として、この試みを開始しました。酪農業界では家畜糞尿の水分調整材として重宝されるおが粉の調達困難や価格高騰が深刻な課題となっています。そこで、下水汚泥を用いた安価なバイオ炭をおが粉の代替品として使用することで、CO2を削減しようとしています。
取り組みの概要
プロジェクトは三光社のウェストバイオマス工場で、通常廃棄される下水汚泥からバイオ炭を製造し、大山乳業の酪農家に供給します。酪農家では、このバイオ炭を家畜糞尿と混ぜ、堆肥化したものを採草地に散布します。このプロセスによって、土壌にカーボンを貯留し、カーボンネガティブを実現します。また、バイオ炭の散布によって、土壌の質を改善する効果も期待されています。
バイオ炭の特性には、臭気の軽減や微生物の住処となる多孔質構造があり、弱アルカリ性からアルカリ性の性質により酸性土壌の中和にも寄与します。そのため、環境と経済の両面での利点が見込まれています。
バイオ炭の詳細
バイオ炭は、特定の酸素濃度のもとで350℃以上の温度でバイオマスを加熱して作られ、その際重金属などが含まれないことが確認されています。特に下水汚泥由来のバイオ炭が認証されたのは、今回が初めてで、これまでの取り組みの重要な一歩となりました。
CO2削減のメカニズム
炭化された炭素を土中に埋設することで、酸素と結合せずに長期間(半減期は120年から1万年)炭素を地中に保持することが可能です。この手法は現在、温暖化対策の一環として注目を浴びています。
今後の展望
このプロジェクトの展開には、酪農家へのバイオ炭施用後のモニタリングが含まれます。今後は、臭気の低減や収穫量への影響を調査し、バイオ炭の効果を評価します。そして、年間100トン以上のCO2削減に加え、環境負荷の軽減、土壌改善、穀物飼料自給率の向上が期待されています。
結論
大山乳業とそのパートナーは、この新たな取り組みを通じて、サステナブルな酪農業の実現を目指しています。日々の酪農業務に新たな選択肢を提供することで、持続可能な未来に向かう道を切り開くことになるでしょう。今後の成果に、ぜひご注目ください。