離島航路維持の重要性と未来を考える
2025年10月9日、東京都調布市にあるTokyo Innovation Baseで「未来のシマ共創会議2025」が開催され、キャンパスクリエイトがゴールドスポンサーとして協賛し、特に「海の道を維持するために」のセッションが行われました。このイベントは、全国の離島関係者からの参加を得て、リアルとオンラインで合計1,051名が参集し、離島航路の維持に関心を寄せました。
セッションの目的と背景
「海の道」は約400の有人離島を結ぶ重要なライフラインですが、事業者は多くの課題に直面しています。船員不足や船舶の老朽化が進行する中で、航路の減便や廃止が相次いでいます。本セッションでは、国土交通省や伊豆諸島開発、エイトノット、九州産業大学の専門家らが登壇し、航路維持の方策について議論しました。
厳しい現状と課題
行平真也准教授は全国に276航路が存在する中、約半数が国庫補助を受けているにもかかわらず、船員不足の有効求人倍率が4.78倍に達しており、事業環境が急速に悪化していると述べました。特に、離島航路の経営改善は急務でありこれまでの補助金の効果に疑問が呈され、40年以上経過している航路も多く見受けられます。
国土交通省の叶雅仁課長は、持続可能な経営基盤の欠如が根本的な問題であると指摘しました。具体的には、(1) 輸送需要に応じた船舶の小型化、(2) 海上自衛隊の退職者による人材確保、(3) 地域住民との協力による運賃改定が必要であると示しました。現場の声を聞くことが重要で、地域内での共通理解が求められます。
技術革新の可能性
登壇者の一人である木村裕人氏は、AIや自動航行技術が船員の負担を軽減する可能性に言及しました。人材不足の解消に向けて、専門的技能への依存を減少させることが求められます。効率的で多様な人材が関与できる産業に変革することが、航路の未来を切り拓く鍵となるでしょう。
三位一体の取り組み
セッションの最後には、航路を未来へつなぐために政策・技術・地域間の連携が不可欠であるとの認識が共有されました。人材育成、制度改革、AIを駆使した効率化、地域の理解と協力が重要なカギとなり、これらが次世代へ航路を繋ぐ道を開くと確信されています。
参加者の反響
参加者からは、地方運輸局で離島航路事業に関わる人々の声も寄せられました。地域の固定観念に対抗する必要性や、島嶼地域の特性を考慮した新たな解決策を模索する意味が強調されました。これにより、島に関わるすべての人同士の意見交換が促進され、より良い解決策を生み出そうとする努力が伺えました。
今回の未来のシマ共創会議2025は、航路維持のための重要性を再認識させる機会となり、様々な立場からの意見交換が行われた貴重な場でした。ご参加いただいた皆様に感謝を申し上げ、今後もこの取り組みを続けていく所存です。