不動産業界のDX推進、効果と課題を探る2025年調査結果

不動産業界のDX推進状況調査2025

2025年の不動産業界におけるDX（デジタルトランスフォーメーション）推進状況を探るため、不動産テック企業7社と全国賃貸住宅新聞が行ったアンケートの結果が発表されました。この調査は、1,286名の不動産関連事業者に対して実施され、業界の現状と今後の展望を明らかにしています。

調査の概要

調査対象は、不動産管理会社や仲介会社を中心とした事業者で、実施期間は2025年7月4日から8月19日まで。主にインターネットを通じて回答を収集し、デジタル化の推進状況やその効果について詳細な分析が行われました。

DX推進の必要性

最初の質問では、98.6％の人々が「DXを推進すべき」と回答しています。この数字は昨年とほぼ変わらず、業界全体でのDXの必要性が強く認識されていることが分かります。さらに、68.0％の企業が具体的にDXに取り組んでいるか、取り組む予定だと回答しており、その比率も少しずつ増加していることが示されています。

DXの取り組み状況

調査によると、DXに取り組み始めてから1年以上経過している企業は67.4％を占め、そのうち3年以上の経験を持つ企業は31.9％に達しています。主な目的は業務効率化で91.3％、生産性向上は60.2％の支持を得ました。

成果の実感

直近の調査では、76.2％のDX経験者が実際に効果を感じていると回答しました。具体的な成果は、従業員の生産性向上が67.4％、残業時間の削減が27.3％、業績の向上も24.7％を占めています。この結果は、DX推進が企業の業務改善に寄与することを示しています。

予算と課題

一方で、DXに取り組まない理由として、48.6％が「予算がない」と回答しました。他にも「取り組み方がわからない」「社内に適任人材がいない」といった課題も共通の理由として挙げられるなど、特に中小企業においては課題が顕著でした。

生成AIの活用

生成AIの活用に関する質問では、65.4％が興味を持っていると回答しましたが、実際に活用している・予定があるとしたのは46.2％であり、まだ実践には至っていないという現状が見えてきました。「ChatGPT」などの利用が85.5％を占め、その用途としては情報収集や文書作成が主に利用されています。

情報収集の変化

不動産業界の情報収集方法では、SNSやYouTubeの利用が昨年よりも増加しており、特にSNSでの情報収集は4人に1人となる25.6％に達しました。これは、デジタル媒体が従来の紙媒体やイベントに迫っていることを示しています。

今後の展望と総括

調査を通じて、DX推進に関する企業の意識は一定の定着を見せており、実際に効果を上げている企業も増えてきています。しかし、まだDXに取り組まない企業も多く、特に予算や人材面での課題が障壁となっていることが浮き彫りになりました。今後、これらの課題を解決するために、業界全体での協力が重要であると考えられます。私たち不動産テック企業やメディアは、さらなるサポートを通じて、業界全体のDX推進に貢献していきます。