第33回小川未明文学賞賞贈呈式が新潟で初の一般公開開催

第33回小川未明文学賞贈呈式初の一般公開

2025年3月29日、新潟県上越市で第33回小川未明文学賞の贈呈式が初めて一般公開され、文学の華やかな一日となりました。この賞は、新潟県出身の児童文学作家・小川未明の文学精神を受け継ぎ、現代にふさわしい創作児童文学を育てることを目的に創設されたものです。主催である上越市と小川未明文学賞委員会、協賛の株式会社Gakkenが共に手を携えて、今年も多くの作品が寄せられました。

今年は前回の553編を上回る639編（短編352編、長編287編）が集まり、応募の受付もメールを通じて行われるようになりました。贈呈式では、受賞作の発表と共に、上越市の中川市長や小川未明文学賞委員会の宮川会長が挨拶し、受賞者への祝福の言葉を述べる中、記念品の贈呈が行われました。

大賞受賞作とその内容

大賞に選ばれたのは黒田季菜子さん（大阪府）の作品「ほーちゃんと、旅に出る」で、物語は小学5年生の少女・金澤伊吹が主人公です。風邪で行けなかった修学旅行のために、兄のために旅行計画を立てる伊吹の姿を描いています。特に障害を持つ兄との関係を通じて、人々との心のつながりや相互理解が優しく表現されています。最終選考委員の上越教育大学の小埜裕二教授は、「思いやりや縁のつながりを感じさせる」作品と評しました。

優秀賞受賞作品の魅力

また、優秀賞を獲得したのは岩田早苗さん（東京都）の「まねき猫よろず相談所」です。この作品は、神社の一隅にあるまねき猫が主人公であり、猫たちの不思議な相談所を舞台にしています。最終選考委員の作家・今井恭子氏は軽妙な文体とストーリーの巧みさを評価し、また小川英晴氏は作品に潜むより深い意味について言及しました。