子ども貧困と権利意識に関する全国調査結果
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが、国内最大規模の「全国3万人意識調査」を実施し、子どもたちの貧困問題と権利意識に関する重要なデータを公表しました。この調査は2019年以来のもので、子どもの貧困の実態や権利意識についての幅広い視点を提供しています。
調査の概要
この調査は、15歳から80代以上の全国3万人を対象に、オンラインで行われました。調査対象には子ども2,163人、成人27,837人が含まれており、経済的に困難な状況にある人々にも声をかけました。特に、「子どもの権利条約」の認知度や、子どもたちが大切に思う権利、そして守られていないと思う権利についても調査されました。
調査結果の主なポイント
1. 子どもの貧困への認知度の低下
調査結果によれば、約半数の大人が「子ども貧困」について「聞いたことがない」と応え、2019年から顕著に増加しています。この傾向は、子どもたちにも同様に見られ、社会全体の関心が低下していることが懸念されます。実際、日本の相対的貧困率は改善傾向にある一方で、ひとり親の家庭では依然として高い相対的貧困率が続いています。
2. 貧困問題に対する子どもの関心が高い
調査の結果、約8割の子どもが「子どもの貧困問題は解決すべき社会問題」と認識し、大人の約6割が賛同しています。この結果は、子どもたちが問題解決に対して主体的な意見を持っていることを示しています。
3. 教育無償化が重要視されています
解決すべき施策として、子どもも大人も「高校までの教育の無償化」を最も重要と考えていることが明らかになりました。経済的支援が求められる中、この施策がどれほど重要であるかが示されています。
4. 経済的困難な当事者の声に耳を傾ける必要性
経済的に困難な状況にある当事者の意見は、一般のモニター層と異なる結果を示しています。「ひとり親への給付充実」など、当事者である大人の約70%が特定の施策を求めている一方で、モニター層はそれに対しては25%を下回る結果でした。このことから、当事者の声が十分に反映されていないことが伺えます。
5. 意見表明権に関する意識の違い
子どもと大人の間で「子どもの意見表明権」に対する認識に大きな差があることが調査結果により示されました。子どもたちは47%がその重要性を感じているのに対し、大人は28%という結果でした。この認識のギャップは、今後の政策づくりにおいても影響を及ぼす可能性があります。
結論
この調査を通じて、子どもたちの貧困問題に対する意識や権利意識の重要性が再認識されるとともに、国や行政における施策への反映が望まれます。セーブ・ザ・チルドレンは、今後も当事者の声を積極的に反映させた取り組みを推進していく意向を示しています。具体的な施策の実施が、子どもの権利を守るための第一歩となることでしょう。