世代を問わず見えない老後資金の不安 - お金の未来を考える

老後資金への不安とその背景

令和の時代に入り、多くの人々が老後に関するお金の不安を抱えていることが顕著になっています。三井住友信託銀行が設立した「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」（以下、ミライ研）による2025年1月に実施されたアンケート調査によると、年代を問わず最も大きな不安要因として「老後資金」が挙げられています。この調査結果から、どのような要素が人々の老後資金に対する不安を助長しているのかを探ってみます。

老後資金不安の現状

ミライ研の調査によれば、回答者の中で最も多く挙がったお金に関する不安は“老後資金”でした。この結果は6年連続で変わっておらず、老後に対する懸念が一般的であることを示しています。その理由としては、老後の生活費や年金額の不透明感が強調されています。特に、若い世代は「年金がもらえるのか」「いくらもらえるのか」といった情報不足による不安を抱えています。

不安の理由とは？

調査の結果、老後資金に不安を感じている人々がその理由として最も多く挙げたのは、「老後の生活費の水準がわからない」というものでした。これは、リタイア後の生活に必要な金額を予測できないことが、彼らの不安を掻き立てていることを示しています。

年齢を重ねるにつれて答えられる人の割合は増えますが、若い世代のほとんどが「年金額の水準がわからない」ことに悩んでいると記されています。この傾向は、年金制度の理解が不十分なことを反映しているのかもしれません。

老後資金の理解状況

また、老後に必要な資金の具体的なイメージについても多くの人が困惑しています。調査によると、必要な老後資金に関して「わからない」と答えた人の割合は4割から5割にも上ります。また、生活費の見込みに対しても約半数が「わからない・答えたくない」と回答しており、リタイアへの計画が立てられない現状が浮き彫りとなっています。

現在の生活費と老後生活費の比較

60歳前後の50歳代や60歳代の回答者に対し、現時点での生活費が25万円以上の世帯では、老後の生活費を現在の生活費の7割から8割程度と見積もっていることが多いと報告されています。これは極端に減少せず、やや安心材料とも受け取れますが、老後資金の準備に対する具体的な行動が見えない現状は変わりません。

公的年金の理解が不足

公的年金に関しては、多くの人がその受給額を「イメージできていない」と感じています。調査によれば、全体の58.6%が年金の受給額について正確なイメージを持たず、特に50歳代でも半数以上の人がこれに当てはまるというのです。さらに、自らの年金受給額を把握する経路によって、感想に差が出ることもわかりました。例えば、専門的な相談を通して年金額を理解している人は「少ない」との感覚に偏っていない一方で、メディアを通じて得た情報では「少なかった」と感じる人が多くなっています。

退職金・企業年金の認知度

老後の収入の柱として位置づけられる退職金や企業年金についても、知識が不足していることが明らかになりました。多くの世代が退職金の制度は知っているものの、その支給水準についての理解は低いため、計画的に老後資金を準備する意識が希薄であることが伺えます。この状況は、企業側の積極的な情報提供が求められる背景とも言えます。

解決策は？

これらの状況を踏まえ、老後資金不安を解消するためにはどうすれば良いのでしょうか。大切なのは、自身の公的年金シミュレーターを活用して年金受給額を把握すること、また、退職金や企業年金の水準を調査し理解することです。さらに、老後の生活費を具体的に想定し、そのための資金計画をしっかり立てることが必要です。

まとめ

老後資金に対する不安は、年齢問わず多くの人が抱えていますが、その具体的な理由や解決策を知ることが、未来の安心な生活を手に入れる第一歩となるでしょう。今年は年金制度の改正議論も行われますので、正確な情報を収集し、理解を深めることがますます重要となります。「老後資金」の不安に立ち向かうためには、自分自身の将来を見据えた行動を今から始めることが求められるのです。