衝撃の犯罪小説『家族』が描く暴力の真相と愛の形

葉真中顕の最新作『家族』がついに登場

2025年10月24日、文藝春秋から葉真中顕の最新小説『家族』が発売となります。本作は、2011年に兵庫県尼崎市で発生した連続殺人・死体遺棄事件を背景に、恐怖と暴力が支配する世界を描いています。この作品は、読者にとって衝撃的な体験を提供する、圧巻のクライムエンターテインメントです。

事件の背景

物語の舞台は、表面的には安全に見える街。しかし、ここに潜む陰惨な真実が徐々に明らかになる様子を、葉真中は巧みに描いています。主人公は奥平美乃（おくだいら・みの）という女性で、彼女が交番に駆け込むことで物語は動き出します。彼女は半年間にわたり、妹夫婦が奇妙な女性にお金を巻き上げられていることを警察に訴えていましたが、「民事不介入」の理由で取り合ってもらえませんでした。この事件を機に、誰もが目を背けたかった現実的な恐怖が顔を出します。

本作のテーマ

奥平美乃が警察から保護されると、彼女を監禁していた「おかしな女」、夜戸瑠璃子（やべ・るりこ）がどのようにして自らの周囲に疑似家族を築き、支配権を確立していったのかが次第に明らかになります。瑠璃子は、他者に対し「躾け」を名目にして暴力を振るい、実際には無数の変死に関与していたことがわかります。このように、本作は単なる娯楽小説に留まらず、現代社会が抱える問題点に対する鋭い視点を提供しています。

読者の反応

書店員からは「読む手を止めることができませんでした」といった声も上がっています。圧倒的なリーダビリティで物語に引き込み、読者を思わぬ深淵へと誘うこの作品は、葉真中顕の真骨頂です。ペーシングやキャラクターの描写が緻密で、次々と訪れる展開に心拍数が上がります。

著者紹介

葉真中顕は1976年に東京都で生まれ、2013年に『ロスト・ケア』で日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビューを果たしました。以来、彼の書いた作品は様々な文学賞を受賞し、ドラマ化や映画化もされるなど、多くの読者から支持されています。近年の著作には『凍てつく太陽』や『灼熱』などがあり、それぞれの作品で新たなテーマを探求してきました。