関光汽船、フェリー混載輸送で物流業界の課題解決に貢献
長距離フェリー輸送のパイオニアである関光汽船株式会社は、物流業界が直面する「2024年問題」の解決に向けて、同社グループであるSHKライングループと連携を強化し、新たな輸送サービスを展開しています。
特に注目されているのが、東京九州フェリー(新門司港-横須賀港)を利用した「関東向け輸入貨物 フェリー混載輸送」です。このサービスは、アパレル製品を輸入する商社の間で急速に広がっており、業界を代表する豊島株式会社、MNインターファッション株式会社、株式会社ヤギなど、多くの企業が採用しています。
従来のトラック輸送(陸送)と比較した場合、フェリー混載輸送は大幅なCO2排出量の削減が期待できることから、環境負荷低減への貢献も高く評価されています。また、ドライバーの長時間労働の改善にも繋がることから、2024年問題の解決策としても注目されています。
フェリー混載輸送の具体的な内容
中国・太倉港からの「蘇州下関フェリー」や山東省エリアからのトランシップで下関港に入港した複数顧客の輸入貨物をトレーラーに積載し、新門司港から横須賀港まで「東京九州フェリー」で無人航送します。横須賀到着後は仕分けを行い、関東圏へ配送されます。
CO2排出量削減とリードタイム短縮
下関港から関東圏への長距離輸送において、輸送部分のほとんどを国内フェリーに切り替えることで、トラック輸送と比べてCO2排出量を大幅に削減することができます。
具体的には、下関港から関東へトラック輸送した場合と比べて約70%、大阪港から関東へトラック輸送した場合と比べて約40%の削減が可能となっています。
さらに、リードタイムもトラック輸送と遜色なく、下関入港日より翌々日には関東圏へ配送することが可能です。
商社の積極的な利用と成果
2021年11月より開始した「東京九州フェリー」を利用した関東向け輸入貨物フェリー混載輸送は、いち早く導入した豊島株式会社において、開始当初と比較して利用量が2.75倍に増加しました。
さらに、下関港に入港した関東納品貨物における同サービス利用割合は、2024年に入り7割に迫る勢いです。CO2排出量もトラック陸送させた場合と比較して、2022年度/57トン、2023年度/70トン削減したとされています。
MNインターファッション株式会社もフェリー輸送を積極的に推進しており、下関揚げ貨物の関東納品におけるフェリー輸送割合は約4割となっています。直近2024年1月以降では7割近い利用率となり、環境負荷低減への取り組みを強化しています。
株式会社ヤギも、近年下関港利用を推進しており、大阪港から陸送で関東へと納品していたものを下関揚げフェリー輸送へと変更しました。環境負荷低減を求める荷主にとって有効な手段となっています。
今後の展望:商社間共同輸送によるさらなる効率化
関光汽船株式会社は、輸送効率の向上を目指し、商社間での共同輸送を開始する予定です。共通の顧客(納品先)を持つ各商社の貨物を同じトレーラーに集約して、納品先まで一括配送することで、物流コスト抑制にも期待できます。
この取り組みは、物流業界における課題解決の一助となるだけでなく、持続可能な輸送手段として高く評価されています。今後の顧客増加による「共同輸送」の実現は、物流コスト削減と環境負荷軽減を両立する新たなモデルケースとなる可能性を秘めています。
関光汽船株式会社について
関光汽船株式会社は、SHKライン(新日本海フェリー、阪九フェリー、関釜フェリー、蘇州下関フェリー、東京九州フェリーなど)の航路網を利用し、中国・韓国と日本各地を結ぶ国際物流サービスと、日本国内を網羅する海上ネットワークを活用した国内物流サービスを展開しています。