NECが開発するAgentic AIでTNFDレポートの効率化を図る
NECは、2023年内に発表を予定している自然関連財務情報の開示に関するレポート(以下、TNFDレポート)の作成に向けて、最先端の技術であるAgentic AIを導入すると発表しました。この取り組みは、同社が「クライアントゼロ」という独自のコンセプトのもと、最先端技術を自らのビジネスに活用する試みの一環です。
Agentic AIは、調査、リスクと機会の抽出、リスク評価、制作・レビュー、広報という五つのタスクを自動的に実行できる機能を持っています。この新しい技術の導入により、従来の報告書作成業務が大幅に効率化されることが期待されています。
背景
世界中の企業が直面しているサステナビリティへの対応は、急速に進化する開示要請に対応するために多くの工数を要求される状況です。特に、TNFDに関連する情報や基準はまだ確立されたばかりで、専門的な知見を持つ担当者の負担は増す一方です。NECは2023年7月に、国内初となるTNFDレポートを発行し、2024年にはその第2版を発表予定です。この様に、NECはサステナビリティに関する情報開示の先駆者としての立場を確立しています。
今回のAgentic AI導入により、NECは調査や広報活動において既に実績を上げており、特に調査業務においては、かつて198時間かかっていた専門ガイダンスの研究時間をわずか16時間半にまで削減しました。これにより、出発点としての研究時間が大きく短縮され、チームはより重要な業務に集中できるようになります。
Agentic AIの機能
Agentic AIの主要な機能は、複雑なデータや情報をもとに、自動的に関連情報を整理し分析することで、自社の開示活動におけるギャップや改善点を浮き彫りにすることです。このAIの導入により、従来の手作業で行われていたプロセスがデジタル化され、業務の効率化が図られる見込みです。さらに、NECはこの技術を通じて、国際的な幅広い規定やガイドラインに準拠する知識も取り入れ、多国籍の開示基準にも対応していく考えです。
今後の展開
NECは今後、今回のレポート作成において得た知見を生かし、SSBJ(サステナビリティ開示基準)や格付け評価調査など、さまざまなサステナビリティテーマに応用していく方針です。環境だけではなく、人権や経済安全保障といった他の重要なテーマにもAgentic AIの機能を活用し、さらなる企業変革を目指します。
NECのこの取り組みは、企業が情報開示に積極的に取り組む重要な第一歩であり、サステナブルな未来に向けた強力なサポートを提供することを目指しています。南北問題や人権問題など、各国が直面するさまざまな課題にも、恵まれた技術力で応えていくことでしょう。
お問い合わせ
本件に関する詳しい情報はNEC サプライチェーンサステナビリティ経営統括部までご連絡ください。