矢尾板克則の陶芸展「ハリボテ」の魅力
新潟県長岡市を拠点に活動する陶芸家、矢尾板克則の個展「ハリボテ」が、2024年3月12日から3月17日まで東京都代官山のgallery ON THE HILLで開催されます。この展示は、矢尾板の独特な感性と技術が詰まった作品群を通して、彼のイマジネーションの世界を体験できる貴重な機会となります。
矢尾板は、1991年に武蔵野美術短期大学陶磁科を卒業後、熊本の陶芸家・山本幸一氏に師事し、陶芸家としての基礎をしっかりと学びました。1995年の独立以降、独自の技法である「剥離」を用いた作品を数多く発表し、全国のギャラリーでも注目を集めています。
「ハリボテ」の誕生とその意義
展示タイトル「ハリボテ」は、東日本大震災をきっかけに誕生しました。震災後、矢尾板は壊れた建物や道路を目の当たりにし、人間が造り上げたものが自然の力によって脆くなってしまう瞬間を感じ取りました。この経験は、彼にとって大きな転機となり、未来へ繋がる形への創造意欲を刺激しました。
「ハリボテ」とは、厚さ1〜2mmの薄い土の板を重ねたやきもののことを指します。初期の作品では、地形をモチーフにしており、自然の力と地殻変動をアイロニカルに表現しています。やがて、家や車などの身近な形へと発展し、現在のポップなシリーズへとつながっていきました。
展覧会の見どころ
「ハリボテ」シリーズの作品は、内部がスカスカで虚像のような形をしながらも、そこには矢尾板の豊かなエネルギーや創造力が秘められています。これまでの陶芸とは一線を画す、新しい形の作品に触れることで、見る人々は不確かな未来に立ち向かう力を感じ取ることでしょう。
展覧会の詳細
- - タイトル: 陶芸家 矢尾板克則展「ハリボテ」
- - 会期: 2024年3月12日(火)− 3月17日(日)
- - 開場時間: 12:00−19:00(最終日11:00−18:00)
- - 入場料: 無料
- - 会場: gallery ON THE HILL(東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟 1F)
- - 主催: 一般社団法人オンザヒル
- - お問い合わせ: [email protected]
この展覧会は、単に陶芸作品を展示するだけでなく、矢尾板の独自の視点を介して人間と自然の関係について考えさせる機会でもあります。ぜひ、多くの方に足を運んでいただき、彼の作品が持つ可能性とメッセージを体感していただけると幸いです。