鹿島の新築オフィスビルがCO2排出量削減に成功
鹿島建設が手掛ける中規模オフィスビル「名古屋伏見Kフロンティア」は、その設計段階において、従来の基本設計と比較してCO2排出量をなんと35%も削減することに成功しました。これは、建材の製造から運搬、施工、更新・修繕、さらには解体に至るまで、すべての段階でのCO2排出量を考慮し、同社が培った技術とノウハウを最大限に活用した結果です。
環境配慮型オフィスビルの基本設計とは
名古屋伏見Kフロンティアは、旧建物の地下躯体を有効に活用したり、低炭素建材の適用を拡大することで、CO2の排出削減に寄与します。この取り組みは、鹿島が提唱する「鹿島環境ビジョン2050plus」の一環として、将来的にはさらなる削減目標を掲げています。実際、同プロジェクトではCO2排出量を1.35トン/㎡削減し、2030年までの目標を上回る削減効果を確認しました。
削減のための具体的な取り組み
このオフィスビルプロジェクトの特筆すべき点は、地上13階、地下1階という規模でありながら、エネルギー効率の高い建物を目指しているところにあります。実施設計段階で進められた削減プランは多岐にわたり、以下のような具体的な施策が講じられました。
1.
地下躯体の再利用: 旧建物の地下構造部分を山留として有効活用することで、基礎杭や掘削にかかるCO2を削減。
2.
省エネ設備: 高効率な照明と空調設備を採用し、建物のエネルギー消費を最小限に抑える設計を実施。
3.
低炭素建材の使用: CO2排出量の少ない高炉セメントコンクリートや、独自開発のエコクリートを部分的に採用。
4.
バイオ燃料の活用: 工事機械の燃料に軽油代替となるリニューアブルディーゼルを使用し、CO2排出を削減。
これらの施策により、名古屋伏見Kフロンティアは、環境面での評価を高めるだけでなく、実際のCO2排出量削減にも寄与しています。このような取り組みは、持続可能な建設業界のモデルケースとも言えるでしょう。
今後の展望
今後、鹿島建設はこのプロジェクトから得られた知見を基に、様々な用途や規模の建物においても、合理的で具体的なCO2排出量削減プランを提供し、脱炭素社会の実現に積極的に貢献する姿勢を示しています。また、同社は「ZEB Ready」や、「CASBEE」の最高ランク評価の取得を目指し、さらなる環境配慮型建物の発展を目指します。
物件概要
- - 事業主: 鹿島 建設事業本部
- - 所在地: 愛知県名古屋市中区錦二丁目
- - 用途: 事務所
- - 敷地面積: 2,442㎡
- - 延床面積: 25,811㎡
- - 階数: 地上13階・地下1階
- - 構造: S造、一部SRC造
- - 駐車台数: 131台(地下機械式)
- - 竣工予定: 2025年10月
このように、名古屋伏見Kフロンティアは、環境への配慮がただのスローガンではなく、実際の施策を伴った挑戦的なプロジェクトとして注目されています。今後が非常に楽しみです。