導電性シートのリサイクル実証試験が始動
近年、環境問題への関心が高まる中、持続可能な開発に向けた様々な取り組みが行われています。その一環として、東洋インキ株式会社と株式会社マルアイが共同で、導電性シートの「水平リサイクル」スキームを確立するための実証試験を開始しました。この試験は、導電性シートのリサイクル促進を目的としており、今後の電子部品におけるサステナブルな技術革新に寄与することが期待されています。
導電性シートとは?
導電性シートは、プラスチック基材上に導電・帯電防止インキをコーティングしたもので、主に電化製品や自動車の電子部品を静電気から保護する役割を果たしています。これらのシートは、搬送用の導電トレイやキャリアテープとして広く利用されていますが、印刷されたインキがプラスチックから分離しづらく、リサイクルを妨げる要因となっています。
新たなリサイクル技術の開発
昨年、東洋インキとマルアイは「リサイクル可能な導電性シート」を共同開発しました。これにより、導電性シートが持つ表面抵抗値や真空成型性を損なうことなく、導電インキを容易に脱墨できる技術が確立されました。特徴的なのは、導電インキとプラスチック基材の間にアルカリ処理が可能な脱墨層を設けている点です。この層により、アルカリ溶液中で熱処理を行うと、脱墨層が溶解し、導電インキがプラスチック基材から簡単に除去されます。これにより、従来は廃棄物として処理していたプラスチックを、再利用可能な資源として活用できるようになります。
リサイクル実証実験の詳細
今回の実証実験では、マルアイ製の「リサイクル可能な導電性シート」を加工する過程で発生した端材やトレイサンプルを回収し、東洋インキが破砕・脱墨処理を行います。そうして得られた透明なプラスチック片を再びシート化する「ポストインダストリアルリサイクル」の実現を目指します。さらに、使用済みトレイを対象にした「ポストコンシューマーリサイクル」の実証実験も進行中で、これによりプラスチック製品の回収から再生に至る一連のプロセスが確立される予定です。
展示会情報
この新しい技術は、2025年11月に千葉県幕張メッセで開催される「サステナブルマテリアル展」に出展される予定です。展示会では、剥離・脱墨ソリューションやモノマテリアルソリューション、紙化ソリューションなど、環境に配慮した多様なソリューションが紹介されます。
- - 展示会名: サステナブルマテリアル展
- - 会期: 2025年11月12日(水)~14日(金)10:00~18:00(最終日のみ17:00まで)
- - 会場: 幕張メッセ(千葉県千葉市)
- - 当社ブース: 4ホール23-52
- - 主催: RX Japan株式会社
- - 詳細URL: サステナブルマテリアル展公式website
まとめ
導電性シートの革新的なリサイクル技術は、企業の環境への取り組みの一環として注目されています。東洋インキとマルアイによるこの試験が成功すれば、今後のプラスチック資源の循環利用が進むことが期待されます。持続可能な未来のために、業界全体が協力し合う必要があることでしょう。