科学に基づくいじめ防止絵本「いじめ、みちゃった!」が登場
2024年10月31日に、いじめ予防に特化した絵本『いじめ、みちゃった!』が発売されます。この絵本は、いじめ問題に取り組む専門家が、科学的根拠に基づいて構築した教育メソッドを応用しています。
日本のいじめ対応策として「いじめ防止対策推進法」が施行されてから11年が経過し、その間に認知されたいじめの件数は驚異の68万件を超え、過去最多を記録しました。こうした現状に対し、欧米ではいじめに関する研究が進み、効果的な予防プログラムが実施されています。これにより、再現可能ないじめ防止策が有効であることが確認されています。
誰もが関与する「傍観者」の重要性
『いじめ、みちゃった!』は、いじめを目撃した子どもを主人公に据えています。一見、いじめとは無関係に思えるこの主人公が、実は物語の中で重要な役割を果たします。欧米の研究によると、いじめを見た傍観者が行動を起こすことにより、約6割のいじめがすぐに収束します。これは、傍観者としての子どもたちに、正しい行動の重要性を伝えるためのものです。
傍観者がいじめに当たり前に関与してしまうという恐ろしいケースや、見ているだけでPTSDを発症するリスクもあることが明らかになっています。したがって、この絵本は傍観者としての子どもがいかに行動を取るべきかを考える支援を目的としています。
著者の熱い思い
著者の和久田学さんは、いじめ問題に関わる専門家であり、20年以上の特別支援学校での教師経験を持っています。彼は、国内外の多くの研究成果を盛り込んだ本書を通じて、子どもたちに正しい知識を提供し、いじめの根絶を目指しています。
人それぞれのいじめの経験や、具体的なケースがあっても、本書で提供する解決策が全てをカバーするのは難しいですが、重要なのは「予防」の観点です。子どもたちが5歳から6歳の時期から、この本を通じて正しい認識を得ることで、いじめに関する意識を育て、未来への一歩を踏み出すことが期待されています。
また、本書には大人向けの情報ページも設けてあり、保護者や教育者も正しい知識を学べる内容となっています。
読者の反応
早期に本書を読んだ読者からは、「この本を通じて、子どもたちが自分の気持ちを素直に表現する勇気を持てるようになる」との感想が寄せられています。また、いじめを見逃さない社会を作るためには、まず家庭での正しい態度を示すことが重要との意見もあり、親子で共に成長できる内容が評価されています。
著者紹介
和久田 学さんは、公益社団法人子どもの発達科学研究所の所長として、いじめや不登校など子どもの問題行動に関わる研究を行っています。彼の専門分野は、予防と支援者トレーニングであり、数多くの著書も持っています。
本書のイラストは、鎌倉市在住のイラストレーターであるイモカワユウとイモカワチヒロが担当し、視覚からも子どもたちに訴えかける内容となっています。いじめに関する問題意識を根付かせるための絵本『いじめ、みちゃった!』、ぜひ手に取ってみてください。