新たな遠隔医療通訳サービスが外国人患者の手助けに
日本で増加する外国籍住民のニーズに応えるため、特定非営利活動法人AMDA国際医療情報センターが2025年1月より患者から直接依頼できる遠隔医療通訳サービスの提供を開始します。この新しい取り組みは、日本で生活する外国人が医療機関を利用する際の言葉の壁を軽減し、よりスムーズな受診を実現することを目指しています。
医療通訳の現状
現状では、日本の医療機関においては、患者からの直接的な通訳サービスの依頼がほとんど受け付けられていないのが実情です。日本語を母語としない外国籍住民にとって、医療機関での通訳が必要な場面は多々ありますが、公共の医療通訳サービスは限られた条件でのみ提供されています。
多くの医療機関において、通訳サービスの提供は医療機関の判断に依存しており、利用できるかどうかは医療機関の状況や通訳者の有無によって異なります。また、外部の通訳サービスを利用する際には、個人情報の取り扱いや通信環境の整備といった課題も存在します。
遠隔医療通訳サービスの特長
AMDA国際医療情報センターが提供する新しい遠隔通訳サービスは、患者自身がスマートフォンやタブレットを用いて直接通訳を依頼できる点が特徴です。これにより、医療機関側の負担を軽減し、患者が必要なときに容易に通訳を利用できるようになります。
サービスの利用可能時間は平日の午前10時から午後3時まで。対応する言語も多岐にわたります。英語、中国語、韓国語に加え、スペイン語やポルトガル語、ベトナム語、タイ語、フィリピン語の計8か国語に対応し、日数によって異なる日もあります。
通訳サービス自体は無料で、利用者の通信環境は各自で用意する必要があります。これにより、費用負担を気にせずに、必要な医療通訳を利用できる環境が整います。
設立の背景
この新しいサービスがスタートする理由として、日本に住む外国籍住民が増えていることが挙げられます。少子高齢化が進む中で、国内での労働力不足が顕著になり、外国人労働者が社会生活において重要な役割を果たしています。
そのため、彼らが税金や社会保険の手続きを行い、出産や育児、教育などの面でもさまざまな制度を理解することが求められています。
しかし、中には日本語を十分に理解できないために、必要な情報を得られず、サービスを受けることができない状況が多くみられます。その結果、医療機関で診療を断られるケースも発生しています。
AMDA国際医療情報センターの役割
AMDA国際医療情報センターは、これまでに多くの外国人の医療支援を行っており、特に医療通訳の分野においては電話やWeb会議システムを活用した遠隔サービスの提供に取り組んできました。この新たな医療通訳サービスも、より多くの外国籍住民に安心して医療を受けてもらうための一助となることでしょう。
今後も日本で生活する外国籍の方々が医療へのアクセスを果たし、安心して生活できる環境作りに向けて、AMDA国際医療情報センターは活動を続けていくことを表明しています。