中小企業昇給実態調査(2026年度)
2026年度の中小企業における昇給実態調査が実施され、賃上げへの社会的期待が高まる中での結果が明らかになりました。本調査では、エフアンドエムクラブ会員企業を対象にアンケートを実施し、2,705社からの有効回答を得ました。調査の目的は、昇給の実施状況やその背景を明らかにし、今後の経営判断や人事制度の設計に役立てるためです。
調査結果の概要
調査の結果、約8割の中小企業が正社員への昇給や賃上げを予定していることが分かりました。これは、企業の規模や業種を問わず共通しており、昇給対応が経営行動の標準の一部として定着していることを示しています。しかし、小規模企業(従業員数0〜10人)においては、実施しないと回答した企業が約20%にのぼることも判明し、規模による対応の難しさが浮かび上がりました。
昇給率に関しては、正社員の平均昇給率が「2%以上3%未満」であることが最も多く、また、月給を基にした昇給額では「5,000円以上10,000円未満」が中心的な水準となっています。
一方で、パート・アルバイト等に対する昇給の実施率は約40%に留まり、正社員と比較すると対応状況に大きなばらつきがあります。特に、業種によって雇用形態が異なるため、昇給に対する対応状況も多様です。
昇給の決定要因
調査で挙げられた昇給率の決定要因には、「物価上昇」と「人材確保」がほぼすべての業種で言及されました。しかし、取引先への価格転嫁の困難さや最低賃金の上昇が引き起こす賃金体系の歪みについても、多くの企業が懸念を寄せています。
まとめ
2026年度の昇給に関する調査結果からは、昇給対応が確実に広がりを見せていることが分かります。特に中小企業では、「月5,000円以上・昇給率2〜3%」が一般的な水準として確認されました。しかし、小規模企業では「実施しない」の割合が高く、医療・福祉業界では昇給率が他の業種に比べて低い傾向が観察されました。これは、昇給の実施状況における規模や業種による温度差を考える上で重要な指標となります。
ところが、パートやアルバイトの昇給実施率は企業ごとに異なり、特に宿泊業や飲食業では高い実施率を示す一方、情報通信業では昇給を行わない企業が多い現状も見受けられます。
物価上昇やコスト増が企業経営を圧迫し、昇給原資の確保が難しい状況を招いています。このため、昇給を実施するには取引環境の改善が非常に重要となります。さらに、昇給決定の際の基準が明確でないことから、企業は毎年の判断に悩むケースが多く、社内の評価制度や賃金テーブルの整備が求められます。
このように、昇給に関する現状を把握し、課題を理解することで、企業は従業員が納得できる昇給を実現し、持続的な賃上げを支える基盤を築くことが期待されます。今後もこの問題に取り組む必要があります。
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