脇阪克二のアイデア箱──日々の暮らしとデザインのリズム
2025年4月に、脇阪克二氏の新作『脇阪克二のアイデア箱つくりながら日々暮らす』が刊行される。今や80歳を迎えた脇阪氏は、日本で初めてのマリメッコ・デザイナーとして知られ、京都を拠点に活動を続ける現役のデザイナーだ。本書は、彼の生き方や言葉、そして作品をまとめた物語作品集であり、約5年にわたる取材の集大成となっている。
脇阪氏は、京都の西陣で生まれ育った。57年前、特に目指すものもなく船でフィンランドに渡り、わずか5枚の絵を持ってマリメッコの門を叩いた。その後、彼は日本人初のマリメッコ・デザイナーとなり、1960年代の北欧デザインを学びながらニューヨークで刺激的なデザイナー生活を送り、58歳の頃に故郷の京都に戻った。
彼の日々は、毎朝起きるなり妻宛に描く絵はがきの投函から始まる。実に35年間、毎日続けてきたその枚数は驚くべき15,000枚に達するという。この習慣は彼の人生そのものであり、愛する家族への思いが込められた大切なコミュニケーション手段となっている。
この書籍には、脇阪氏が手がけた約55年前のマリメッコの作品が豊富に掲載されている。また、陶芸作品や日常に密接に関わる食器、シャツ、冷蔵庫なども収録されており、身近な物作りへの情熱が感じられる。
脇阪氏は、自身のデザインにおいて「いいくり返しをおこなっているとリズムが生まれ、人生は心地のいいものになる」と語っている。この言葉は、彼のデザイン哲学を体現しており、読む者にとっても響くものがある。実際、彼の作品や言葉は、私たちの生活において「わくわく」を感じさせてくれるものだ。
本書は、単なるデザインに関する書籍ではなく、日々のリズムを大切にすることの重要性を再認識させてくれる。脇阪氏の言葉や作品を通じて、心地よい生活のための気づきを得られる、一冊として長く愛されることを願う。
【書誌情報】
『脇阪克二のアイデア箱つくりながら日々暮らす』
(著・脇阪克二)
定価:2,750円(税込)
発売日:2025年4月11日
ISBNコード:978-4-7780-3889-2
A5判・上製・192頁
発行:小学館クリエイティブ、発売:小学館
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