駒ヶ根市で養蚕業復興を目指す「桑」植樹祭を開催

駒ヶ根市での養蚕業復興を目指す「桑」の植樹祭

長野県駒ヶ根市は、KAICO株式会社とともに養蚕業の復興を図るべく「桑」の植樹祭を開催しました。このイベントは、地域経済の活性化と養蚕業の再興を目指す取り組みの一環として行われ、駒ヶ根市における桑畑の拡大を目指しています。

植樹祭の開催背景

今回の植樹祭は、駒ヶ根市の伊藤市長をはじめ、地元の東伊那小学校の児童たちも参加し、桑の苗木を一緒に植えました。桑は今後、蚕の餌として大切な役割を果たします。KAICO社は2024年3月に、駒ヶ根市と共同で「駒ヶ根シルクミュージアム新プロジェクト」に関する連携協定を結んでおり、これを基に地域に新たな養蚕業をもたらす計画が進行中です。

養蚕業復興の目的

この養蚕業復興プロジェクトは、かつて日本の主要な輸出品であった蚕の生産量を回復させることを目的としています。かつて日本では年間約40万トンもの蚕が生産されていましたが、現在はわずか51トンにまで減少しており、養蚕農家の多くが高齢化しているため、業界の存続が脅かされています。

KAICOは、著しい数の蚕を育てるための安定供給源を確保する必要があり、この植樹祭はその第一歩です。桑の葉は、蚕の成長に不可欠な食料であり、育成から収穫までには2～3年かかります。これからの数年間で、大量の桑の葉を確保し、地域の養蚕業を支える体制を築いていく考えです。

地域経済への貢献

KAICOは、更なる養蚕業の復興を通じて、駒ヶ根市の地域経済を活性化させることを目指しています。生産された蚕は、KAICOによって経口ワクチンや動物用飼料に利用され、地域に利益をもたらすでしょう。また、養蚕業を通じて地域振興や雇用の創出、廃校や耕作放棄農地の活用など、幅広い地域社会への貢献が期待されています。

また、KAICOは持続可能な取り組みとして、育てた蚕の生産で出た繭も地域に返却し、活用方法を探ることで、地球環境の保護にも寄与する意向です。CO2削減に向けた桑の植樹は、環境に意識を向けた新たな一歩とも言えます。

今後の展望

KAICOは、今後3年を目標に年間およそ1,500万頭の蚕を調達する計画を立てています。この目標達成のためには、従来の養蚕農家に加え、駒ヶ根市をモデルとした新たな養蚕業復興プロジェクトに協力を望む自治体や企業の提携が不可欠です。KAICOの取り組みは、蚕を利用した医薬品開発にもつながり、世界の公衆衛生にも貢献することが期待されています。