住友理工の挑戦:水素社会への旅路
住友理工株式会社(名古屋市中村区、代表取締役社長:清水和志)は、カーボンニュートラルの実現と、水素社会の推進に向けて積極的に製品開発を行っています。特に、現在インフラとして運用が始まった燃料電池トラック(FCトラック)に向けた防振ゴムやホースなどの製品が注目されています。この事業は、環境に配慮した未来の物流社会を形成するための重要なステップとなっています。
★★ FCトラックとその役割
住友理工が量産中のFCトラック用製品は、Commercial Japan Partnership Technologies株式会社が計画している小型FCトラックを対象としています。これらの小型トラックは、地域の物流センターから店舗やコンビニエンスストアに配達を行う主力車両として活躍し、冷蔵・冷凍機能を備えた仕様のものが多いです。さらに、長時間の運用や長距離走行だけでなく、迅速な燃料補給が不可欠です。
2030年の目標として、トラック運送業界はCO2排出の大幅削減を掲げています。具体的には、2005年比で31%の排出量削減、8トン以下の車両の10%を電動車両とするという目標を設定しています。この背景を持つ水素技術は、走行時のCO2排出がゼロで、短時間での燃料補給が可能という特性から、今後の物流業界において非常に有用になると考えられています。
★★ 商品開発の詳細
住友理工では、FCトラック用に数種類の製品を開発しています。以下にその主な特徴を紹介します。
- - 水素タンクマウント : この防振ゴムは水素タンクをトラックのボディーに固定する役割を果たします。タンクの安定支持を確保し、振動を効果的に低減。特に、長時間使用されるトラックの場合、サイズと重量があるため、耐久性と信頼性が求められます。
- - 水素ホース : 水素タンクからFCスタックへ水素を供給するためのホースです。分子量が小さくシール性が高い水素に対応すべく、高度な設計がなされています。また、トラック向けに長尺化されたため、シール性能も維持されています。
- - FCセル用ガスケット : ゼラチン状の構造物であるFCセルの中で、水素、酸素、水の漏れを防ぐ重要な部品です。これは氷点下から100℃以上という広範な温度範囲で機能し、燃料電池車の安全性と効率をサポートします。
住友理工は今後も、FCシステムを搭載した商用車への対応を進める方針です。
★★ 経営ビジョンと未来への貢献
住友理工グループの経営ビジョン「2029年 住友理工グループVision」では、持続可能な社会の実現を目指しています。「自然と都市、そして人がつながるグリーンで快適な社会」を志向し、次世代モビリティを実現する製品の開発・提供に注力しています。また、脱炭素・循環型社会の構築に向けた取り組みが今後の重要な課題となります。
住友理工は、持続可能な物流システムの構築に貢献し、環境に優しい未来を共に作り出す役割を果たすことを約束します。