NSKの新たな軸受技術
日本精工株式会社(NSK)は、風力発電機の主軸用に、高信頼性自動調心ころ軸受を新たに開発し、販売を開始しました。これまでの技術に新たな保持器を追加したことで、より高い耐久性を実現しています。
開発背景
風力発電機は特殊な環境に設置されるため、故障が発生すると高い修理コストや長期間の作業停止が避けられません。特に大型の主軸や軸受の部品交換には約1年のダウンタイムが必要になるとも言われており、ユーザーからは高い信頼性が求められています。そのため、軸受の摩耗を抑え、耐久性を向上させることが急務でありました。
技術的革新
今回の製品は、NSKの持つ3つの革新的な対策技術を駆使しています。
1.
長寿命材料「Super-TF」の採用:独自に開発されたこの材料は、微細炭化物が均一に分散されており、耐摩耗性が大幅に向上しました。
2.
高硬度被膜「DLC被膜」の採用:ダイヤモンド様の特性を持つこの被膜を使用することで、ころの表面劣化を防ぎ、軌道面の耐摩耗性が強化されています。
3.
新形式保持器「ECAタイプ」の開発:案内輪を廃止したこの新しい構造により、ころのサイズと数が増え、高負荷容量を実現しました。
目指す安定運用
新型軸受の特長は、摩耗量を標準品の1/10以下に抑えることができた点です。この結果、風力発電機のメンテナンス頻度を低下させ、部品交換によるダウンタイムの削減にも繋がります。これにより、発電機の安定稼働が期待できるのです。
市場展開
新型軸受はすでに北米の風力発電事業者による採用が決まっており、NSKはアフターマーケットビジネスの拡大を目指しています。2026年に向けては、売上高を2021年度比+250億円の達成を目指しています。
NSKの歴史とビジョン
NSKは100年以上の歴史を持ち、世界中で軸受や自動車部品の提供を行っています。企業理念として、持続可能な社会の実現に向けて努力を続けており、今後も技術革新を通じて市場のニーズに応えようとしています。
この新しい高信頼性自動調心ころ軸受は、風力発電業界において重要な役割を果たすことが期待されており、今後の動向に注目です。