シニア建物管理技術者の現場実態調査
近年、建物の維持管理に関わる技術者の高齢化が進み、次世代への技術継承が大きな課題となっています。株式会社マイスター60が実施した「現役シニア建物・設備管理技術者の実態調査」によると、現役シニア技術者の多くが後継者不足や技術継承の難しさを感じています。
調査の背景
この調査では、日本全国で5年以上の経験を持つ480名のシニア技術者に対して行われ、ビル設備管理の重要性とシニア技術者の現場実態が詳細に分析されました。特に、電気や空調、給排水といった専門分野での経験が求められる中、後継者不在によるブラックボックス化が懸念されています。
調査結果の要点
1. 人手不足の実感
調査に参加したシニア技術者の約6割が現場の人手不足を実感しており、その背景には若手や中堅層の確保・定着が難しい現状があります。特に、若手の離職や移動が多いとの声が多く、全体の75.2%がこの課題に直面しています。
2. 後継者不在の危機
驚くことに、63.8%のシニア技術者が「後継者・引き継ぎ体制が未定」と回答しました。これは特に21年以上の現場経験を持つ者においてその割合が70%を超えており、深刻な技術継承の危機を示しています。
3. 引き継ぎが難しい知識
後継者不在層の81.1%が「マニュアル化できない知識」を保有し、現場の暗黙知が引き継がれずに失われる危険性があります。具体的な実例としては、日常の運用においてしか分からない微細な異常に気づく能力や、建物の特性に応じた施工方法などがそれに当たります。
4. 教える機会の不足
回答者の41.7%が「教える機会がない」と感じており、その半数以上が知見を持ちながらも伝える相手がいない現状が浮き彫りになっています。このことは、個々の意欲だけでなく、業界全体の構造的な問題を示しています。
5. 高齢でも働きたい意欲
70歳以上のシニアの36.0%が、80歳以上まで働きたいと回答しました。年齢に関する壁を感じつつも、働く意欲は依然として高く、現場で経験を活かせる機会の提供が望まれています。
6. 求められる改善策
技術者の確保・技術継承のために必要なこととして、「賃金・待遇の改善」が最も多く挙げられ、以下に若手の採用強化やシニア技術者に教育の機会を提供する重要性が列挙されました。
業界の未来を見据えて
シニア技術者がその豊かな経験を活かせる働き方を進め、引き継ぎ体制の整備やマニュアル化を進めていくことが求められています。マイスター60では、シニア人材の活用を通じて、こうした課題に立ち向かおうとしています。
2026年のビルメンテナンスフェアTOKYOでは、シニア技術者活用の具体的なソリューションを提供する予定です。業界の人手不足や技術継承の問題を解決するためには、シニアの経験を最大限に活かす仕組みが不可欠です。企業与えられるサポートにより、熟練の人材が現場で持続可能な活躍をする姿を期待します。