住民の力を引き出す新たな試み
千葉県佐倉市で、2025年3月21日に能美防災株式会社が開発した避難所支援アプリ『NHOPS』の実証実験が行われました。この実験は、住民主体での避難所開設訓練を通じ、災害時における自治体だけでは賄えない人手不足に対処するための新しいアプローチを模索するものでした。
1. 実証実験の背景と目的
最近の災害において、避難所の開設や運営は自治体職員だけでは賄えない状況が増えています。そのため、住民も巻き込んだ自治体の新たな運営方法が求められています。しかし、避難所の開設にはマニュアルが複雑であり、経験が不足している住民には障害となります。そこで、佐倉市での初の避難所運営委員会と協力し、住民がアプリを使用して避難所を開設するプロセスを試みたのです。
2. 実施内容
実施にあたっては、実際の災害が発生した場合を模擬し、避難所の解錠や受付設置、誘導体制の整備などの一連の準備作業を行いました。この過程はすべて『NHOPS』の操作画面に従って進められました。特に防災担当職員の介入を最小限にし、住民が主体的に所有できる運営を確認することが目的とされました。
3. 得られた効果
実証実験の結果、アプリのナビゲーションを使用することで、避難所開設の経験がない住民でもスムーズに一連の作業を実施できることがわかりました。また、実際の行動を通じて、紙のマニュアルでは容易に見失われる現場特有の課題も明らかになり、特に「受付動線の設定」や「案内表示の準備」といった細部への重要性が再認識されました。この経験は、今後の避難所運営体制を見直す上での貴重な教訓となるでしょう。
4. 今後の展望
今後、佐倉市とのさらなる連携を継続し、アプリ『NHOPS』の改良と運用支援を進めていく予定です。得られたフィードバックをもとに、地域住民が安心して避難所の運営に関われる環境づくりを目指します。さらに、市内の他の避難所への展開も考慮し、地域全体での「共助型避難所」の実現に向けた支援も行っていく計画です。
5. 『NHOPS』の特徴
『NHOPS』とは、避難所開設マニュアルの内容をシンプルに表示し、誰でも行動に移せるよう支援するアプリです。複雑な手順を整理し、住民の主体的な運営を促すことで、訓練や実践を通じての知識の強化を図ります。
6. 導入検討中の自治体へのメッセージ
「住民主体の避難所開設」や「紙のマニュアルの限界」といった課題をお持ちの自治体様には、『NHOPS』導入のトライアルも含め、是非お問い合わせをいただきたいと思います。私たちは、住民と自治体が協力し、より良い防災システムを築くお手伝いを致します。