アートと気候危機が交差する新たな試み『ARON’S JOURNEY』
NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ(AIT)が、気候危機とアートの接点を探る新しい年刊誌『ARON'S JOURNEY』を創刊しました。これは、アート・クライメイト・コレクティヴ・ジャパン(ACCJ)の取り組みをまとめたもので、アートが気候危機にどう向き合うかを考えるプラットフォームを提供することを目的としています。
雑誌の特徴と内容
『ARON'S JOURNEY』は、2024年度に行った勉強会やシンポジウムの内容を収録し、アートや環境問題に関する対話を促進する一冊です。誌名は、スウェーデンのアーティストであるアーロン・ランダールが日本に来る旅の中で、環境に配慮した行動の重要性を再認識したことに由来しています。そのため、雑誌は「読む」、「聴く」、「語る」の三つの入口から、観覧者にアートと気候危機の関係を意識させる内容となっています。
また、特集としてアーロンの旅の記録や、AITのメンバーによる座談会、推奨する書籍、映画、音楽なども掲載されており、個人の視点から気候危機に対するアクションを再考し、社会的な変革につながることを目指しています。
発行日と入手方法
この年刊誌『ARON'S JOURNEY』は、世界チンパンジーの日である2025年7月14日に第一号が発行され、800部限定で配布されるほか、ACCJのウェブサイト上で無料公開される予定です。
美術館関係者向けの指南
さらに、AITは、美術館セクターが環境問題に対応するための基準を示した「ビゾ・グリーン・プロトコル」の日本語版をACCJのウェブサイトで公開しました。この文書は、国際的な美術館グループによって策定され、環境に配慮した実践の具体的な指針として、業界内での意識向上に寄与するものです。
ポッドキャストのスタート
加えて、ACCJは新たにポッドキャストシリーズも開始しました。このシリーズでは、気候危機をテーマにさまざまな視点からの議論を展開し、環境問題に関心を持つ人々に向けた情報発信を行っています。最新のエピソードでは、気候科学者の江守正多氏とAITのロジャー・マクドナルドの対談が収録されており、アートが持つ社会的役割について深く掘り下げています。
学びと対話の場としての役割
AITは、気候変動に関する意識の向上を目指す一環として、定期的な勉強会「Green Study Meeting」を開催しています。ここでは、アーティストや専門家と共に議論を重ね、アートの革新的なアプローチを共有しています。最新の勉強会では、アーティストの三原聡一郎氏が参加し、気候変動の影響下におけるクリエイティブな表現についての意見交換が行われました。これらの活動は、地域社会においても重要な意味を持ちます。
結語
『ARON'S JOURNEY』の創刊により、アートと気候危機の対話が促進されることを期待します。これが多くの人々に影響を与え、環境問題に対する具体的な行動へとつながることを願っています。AITとACCJの取り組みは、アートセクター全体が持続可能な未来に向けて進むための重要な一歩となるでしょう。今後の活動にもぜひ注目していきたいです。