双日と三社の連携による次世代船舶解体技術の開発
双日株式会社は、オランダの次世代船舶解体技術を開発するCircular Maritime Technologies International B.V.(CMT)と、鉄・非鉄金属のリサイクル事業を手がけるJansen Recycling Group(Jansen)との三社間で、革新的な船舶解体技術を共同開発するための戦略的パートナーシップを締結しました。このパートナーシップの下、実証実験のための資金提供が行われます。
このプロジェクトは、世界的な船舶の多くが今後順次退役を迎えるとされる中、持続可能な解体方法の確立を目指しています。特に欧州では、厳しい環境基準が求められており、従来の船舶解体作業はインドやバングラデシュに集中していますが、これらの国々では安全性や環境保全の観点から課題が残っています。CMTは、そこに革新的な解決策を提供することを目指しています。
課題と解決策
現在、国際的に厳しい船舶解体基準が設定されているにも関わらず、それを満たす解体ヤードは限られています。このため、環境基準の遵守を前提としつつ、効率的に鉄スクラップを回収するシステムの構築が急務となっています。CMTが提案する技術は、船舶の解体過程を自動化し、省人化を実現することで、高速かつ環境に優しい解体プロセスを実現することを目指しています。
さらに、鉄鋼業界は2050年までにカーボンニュートラルを目指しており、鉄鋼生産の脱炭素化が進められています。2030年代には、従来の高炉法から電炉法へのシフトが進む見通しです。この過程で、高品質な鉄スクラップの安定供給は不可欠であり、CMTが開発する技術はその面でも大きな期待を寄せられています。
技術の特徴
CMTが開発する次世代技術は、不純物の少ない高品質な鉄スクラップを効率的に回収することを可能にします。これは、船舶解体における新しいアプローチであり、技術開発が進むことで、環境保護と産業の持続可能性を両立させることが期待されています。また、CMTはEUからの助成を受けており、さらなる技術開発の促進が図られています。
双日の貢献
双日は、CMTの技術開発に資金を提供し、次世代の船舶解体技術の事業化を推進することで、脱炭素社会の実現に貢献しています。今後、競争力と安全性を兼ね備えた船舶解体事業が展開されることが期待されています。
このような取り組みが、持続可能な社会の形成にどう寄与するのか、これからの展開が注目されます。地域の経済発展に寄与しつつ、環境にも配慮したソリューションが実現されることで、多くの企業が新たなビジネスチャンスを得られる可能性があります。
企業概要
CMTの概要
- - 会社名: Circular Maritime Technologies International B.V.
- - 設立: 2022年
- - 所在地: Kamerlingh Onnesweg 10c 2991 XL Barendrecht, The Netherlands
- - 代表者: Frank G. Geerdink
- - 主な事業内容: 船舶の修繕・保守、技術設計およびコンサルティング
Jansenの概要
- - 会社名: Jansen Recycling Group
- - 設立: 2014年
- - 所在地: Koggehaven 3 3133 LA Vlaardingen, The Netherlands
- - 代表者: Klaas Jansen
- - 主な事業内容: 鉄・非鉄金属のリサイクル事業
未来の船舶解体業界や鉄鋼業界の新たな展開に期待がかかります。